白井健太郎は、江戸の街に立ち尽くしていた。目の前には石畳が続き、木造の建物が立ち並ぶ。活気ある雑踏の中、魚や野菜を売る露店が並び、威勢の良い売り声が響いていた。
「本当に…江戸時代なのか?」
健太郎は信じられない気持ちでその光景を眺めていた。路地裏を歩いていると、薄暗い工房の中から微かな筆の音が聞こえてきた。不思議に思いながらその方向に進むと、一人の男性が絵を描いているのが見えた。
彼の名前は左平。墨を使って写し絵を描く職人だった。健太郎は、彼が描く絵に目を奪われた。一本の筆を操り、鳥の羽根を一枚一枚丁寧に描いていくその姿には、熟練の技と情熱が込められていた。
「兄さん、何を見ているんだ?」
左平が気づいて声をかけてきた。
「…すごい絵だ。今にも動き出しそうだよ。」
健太郎は無意識に言葉を漏らした。
「ただの写し絵だ。動くわけがないだろう?」
左平は苦笑した。その言葉を聞いた瞬間、健太郎の中で何かが弾けた。
「いや、もし絵が動いたらどう思う?」
左平は驚きつつも興味を示した。「動く絵?そんなことができるのか?」
健太郎は未来のアニメーション技術の話を簡単に説明した。左平は信じきれないながらも、健太郎の情熱に引き込まれていった。
「そんな未来の技術、本当にできるのか。だが…もし本当なら、見てみたいもんだな。」
健太郎は左平に、共に「動く絵」を作る挑戦を提案した。左平は少し考えた後、頷いた。「面白い話だな。お前の話に乗ってみよう。」
こうして、健太郎と左平の時代を超えたコラボレーションが始まった。アナログの技術と未来の知識が交錯する中、彼らは「動く絵」の実現に向けて動き出した。