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第12話

 平日の特に郊外店では、ポスティングやチラシ配りもそうなのですが、店舗で待っているだけでは来客に限りがあるので、外への積極的な営業活動が売上を左右します。

 それは法人向けにパンフ持参での挨拶回りも含めます。法人だと複数台をまとめて契約してくれることがあるので、法人担当者を置いている代理店も多いです。


 個人のお客様に関しても、家族割を狙った複数台のお勧めもしますし、家族以外のお知り合いを紹介してもらえる場合があるので、人によっては長いお付き合いになることがあります。


 私自身は店舗外でお客様と交流したことはありませんが、そういうことに力を入れている社員はたくさんいました。個人的な携帯番号を教えて休みの日にも相談に乗ったり、お客様の経営する飲食店に顔を出したり。次の契約に繋がるのなら、本人が良ければそれは悪いことではないとは思います。


 契約時に名刺をいただけば、顔を見せない訳にもいかないと、飲食店関係には行く人が多かったです。私は行きませんが、店まで上司を車で送らされたことはあります。


 あとは、休日に社用車を使って常連さんの引っ越しのお手伝いをしたという人もいましたね。その方は料金滞納の強制解約で顧客でもなくなっていたにも関わらず、です。人が良すぎますね。


 ただ、度を越したお願いをされることもあって、特に都合良く使われ過ぎでは? と思ったことが一度ありました。海外に出掛けられるお客様の携帯電話を店舗で預かって、もし着信があったら代理で受け答えして欲しいと言われた上司がいました。まだ一部の携帯しか海外利用が出来なかった時代のことです。


 何をどう付き合っていたら、そんな個人的な頼まれ事をするのやら、とスタッフ全員で拒否。なんで赤の他人の電話に出て秘書みたいなことをしないといけないのか、と。しかもそれに対しての報酬は一切ない。受けた上司もおかしいですが、それを頼んで来た人も相当おかしい。そういうのは家族か友人に頼むべきであって、携帯屋がすることではないです。

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