携帯電話のキャリアショップには事細かなノルマがあります。決められたノルマが期日までに達成できなければ、ショップランクが下げられてキャリアから支払われるコミッションにも影響してしまうので、代理店はいつも必死です。
うるさい会社は半端なくうるさいです。一日に何回も販売台数の報告させられたりとか。
当たり前のことですが、月間目標を達成する為には日々の日別目標をクリアし続けていかなければなりません。何事も計画性は大事。
でも、そう毎日調子良く販売数を出せる訳ではないので、目標に届かない日だってあります。大雪が降って店の前の道が閉鎖しようが、台風の影響で電車が止まろうが、決められた目標は達成しろと会社からうるさく言われ続けます。
目標に満たない時、「お客さん、全然でしたー」と呑気に言ってのけれるメンタルが強い人なら良いのですが、変に責任感を感じてしまったり、上から怒られることをビビってしまったりする社員が陥ってしまうのが、自爆営業。
自分の名前で、使う予定のない携帯電話を新規契約して台数を稼ごうとする人は私の周りでは後を絶ちませんでした。
機種代金がかからない無料機種に最小最低限のプランだけを付けて、すでに持っている電話の家族回線として契約してしまうんです。そうすることで、とりあえずは新規が1件確保できたと報告できるようになります。
勿論、それに関わる事務手数料は自分持ち。毎月の支払も自分持ち、です。安くても数千円の自己負担が発生します。しかも毎月です。新規契約は最低半年は継続しないといけないルールだったから、最低でも半年間の支払いは続けないといけません。たった1日の販売台数をかさましさせるために、半年間もです。半年後には今度は解約手数料なんてものも発生してきます。
当然、売上が良くない日はその日だけで済むはずもなく、また台数が足りない日が出れば、さらにもう1台を自爆契約。自爆ループに陥ってしまって気がつけば、箱に入ったままの新品の携帯電話が溜まっていきます。
ちなみに、私が勤めていた代理店では、新規契約を1件取ることで社員が得られる報酬は高い時でも数百円くらいしかなかったです。自爆しても個人は損しかありませんでした。その日に売上のことで怒られなかったというだけです。
この自爆営業は私の周りの人の場合は、男性の社員ばかりでした。女性社員でやった人は見たことがありません。個人の性格にもよるとは思いますが、その場限りで取り繕っても意味が無いとは思うのですが、そうせざるを得ない雰囲気のある会社には自爆してしまう人は向いてないなと思っていました。