基本的には、ショップ店員にはお店の中でのお客様しか分かりません。
お店に来られる時には不愛想でも、実は家ではものすごく明るい方なのかもしれませんが、お店の中でのお客様しか見る機会はないので、私の中ではその方は不愛想なお客様。それ以上でもそれ以下にもなりません。お店の中でのその方の印象が全てです。
勿論、お客様と同じように店員側も、接客中はめちゃくちゃ明るく人懐っこい方も、バックヤードでは文句ばかりの偉そうな店長、というのもおりました。
知ったかぶりの塊で、マニアックなお客様を相手にして知識が追いつかなくなると都合よく部下に投げてくる、なんてのもいましたね。
ま、お客様もいろいろですが、店員もいろいろです。人のことは言えません。
たくさんの方を接客させていただいていると、店の外でも見知ったお客様と偶然に出会うことはあります。特に地元のショップに勤めていた時は多かったです。元々の知り合いがお店に来て、「わー、お久しぶりです」なんてことも勿論あります。これもやっぱり地元のショップで。
休みの日にショップの近くをうろついていると、「あ、携帯屋のお姉さん!」と声を掛けていただくこともありました。大抵はこちらも覚えているくらいの常連さんだったりするので、そういう時は普通に挨拶をするくらいですが。
そのパターンはよくあることだったので、駅で友達と待ち合わせしている時に、「あ、電話の……?」と声を掛けられて、相手に見覚えが無かったにも関わらず「はい」と普通に返事をしてしまったのは一種の条件反射です。まさかテレクラの待ち合わせと間違われて声掛けられるなんて思ってもみないですよね? 電話って、そっちかい!! と気付いて心の中で突っ込みまくりでしたよ。
人間って生きてれば偶然くらいいくらでもありますよね。でも、その偶然はいらなかったと切に思うのは、テレビのニュースで見知ったお客様の名前を聞くことでしょうか。
毎月必ずというほど、料金収納にやって来られる年配のお客様。普段は奥様が来られることが多かったのですが、たまにご本人が来られることもありました。とても厳格そうなおじいちゃんで、お名前も特徴的だったのでよく覚えていました。
休日のある日、夕方のニュースでその名前を聞いた時はびっくりしました。居住地もお名前も、間違いなくその方でした。産業廃棄物の不法投棄をされて逮捕されたそうです。
他には、直接に私が接客した方達ではないのですが、事実婚カップルのファミリー割引の手続きにいらした仲良さそうな年配のご夫婦が、翌日にはご主人が奥様を殺害された容疑で逮捕されたという……そのニュースを聞いて、接客した子はしばらく落ち込んでいました。人間不信になりそう、って。
あとはそうですね、つい先日にお友達同士で来店された方が、「あいつ、今どこにいるか分かる?」と来られたこともありました。お友達の間で何があったかは分かりませんでしたが、もう一人の方が急に行方不明に(どこかへ逃亡した)なったらしく、接客時はとても仲良さそうに見えたのに、ものすごく怒りながら行方を捜しておられました。お店の中でのお客様しか知り得ない私達には驚くことばかりです。