「セフィリウス殿下。貴方が悪いのは分かっているだろ」
ソファーに座り項垂れていたセフィリウスは頷いた。
「分かってる。言い過ぎてしまった。写真を見せたら喜ぶと思った。違った。むきになってしまった」
セフィリウスは他人から嫌われたことがない。嫌味でもなく本当に。言い寄られたり取り合いになったりはされた事はある。秒で嫌われたから、どうしたらいいか分からない。
「オレが悪いのは分かってる。分かってるけど」
「謝り方が分からないですか。子どもか」
「煩い。子どもみたいだとは思う。嫌いな人に謝られても、嫌なだけだろ」
「さっさと謝ってこい。セフィリウス殿下には、殿下のやり方があるだろ」
やり方。やり方。今までなら抱き締めて肩抱いて、部屋に連れて行って体をつなげる。暖かさと相手の気持ちまで流れてくるようで、気持ちいい。女でも男でも。セフィリウスにとってはコミュニケーション。春樹には想像も出来ないようなコミュニケーションだろう。小さい頃母上に。
「傷付いてしまった人にはアニマルセラピーがい
いらしいの。私も初めて聞いたのよ。スズは面白い事をよく知っているわ」
スズとは春樹の母の名。春樹の母は、オレの母の話し相手だった。アニマルセラピーか。やってみるか。2階に上がるには試練があった。階段という巨大な段差だ。