春樹はあまりの暑さに目を覚ました。なんだ。暑くて気持ち悪い。ベットの中に何人もいるかのように。右を向けば、白い豹耳が頭から生えている子供。尻尾も付いている。左を向けば狼の耳と尻尾が生えた子供がいる。驚いて起き上がれば、2匹、2人が目を覚ました。
「ん。ふわぁ。もう朝か」
「煩い。セフィリウス殿下。彼が起きたら、どうす、申し訳ありません。説明させてください」
春樹が起きていることに気付いた子供姿の狼が、申し訳なさそうに謝罪した。春樹はベットから抜け出し、立ち上がり、扉の前に立つ。振り向く事なく春樹は言った。
「別に。どうでもいい。腹減ってねぇか」
「えっ。お腹ですか。減っているが」
「飯にしようか」
深く追求するのも面倒くさい。怒ってもどうにもならない。泣くのは頭が痛くなる。騒ぐのは子どもじゃねぇからしたくない。
「待って待って。おかしいだろ」
突然大声を出した白い豹に、おくうだが振り返り春樹は、なにがだと言った。
「何がって。あんた。普通は驚くか、喚くか、どちらかだろ。なんなんだよ。飯の話って。オレらを試してるのか。からかってる」
「試す?。からかう?。意味が分からねぇ。
子ども相手に。面倒くせぇ。君が驚いたり喚いたりをご所望なら、その通りにしてやろうか。やかましいほうだぞ。わたしは」
「自分で言わないでしょ。普通。ああ、もういいよ。言ったオレが馬鹿でした」
「分かったならいい。じじいの手紙。そうゆう意味かよ」
こいつらが、異世界からの使者。客人。なんでもいい。ありぇねぇ。勘弁してくれ。わたしは自分のことで、手一杯。他人のましてや訳の分からねぇやつらを世話するなんて。
「無理に決まってるじゃねぇか」
春樹は平静を装い、飯にしようか。言うのが精一杯だったなんて、口が裂けても餓鬼どもには知られないようにしようと思った。