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第7話 三島さんと山内くんの場合

 三島朱里みしまあかりは、中学時代からテニスラケットを握りしめ、汗と涙を繰り返してきた。高校時代にはインターハイ出場という輝かしい実績を残し、その実力は折り紙付きだった。大学進学はスポーツ推薦。強豪校への進学は、彼女のテニス人生における新たなステージのはずだった。しかし、現実は甘くなかった。大学には、朱里をはるかに凌駕する実力を持つ選手たちが数多く存在した。日々の練習は、想像をはるかに超える厳しさで、朱里は何度も挫折の淵に立たされた。


 そんなある日、朱里は右腕に激しい痛みを感じた。病院で診察を受けた結果、診断は「テニス肘」。手術が必要だという言葉を告げられた時、朱里の心は深く沈んだ。手術は成功する見込みが高いものの、その後、以前のようなプレーができる保証はない。テニスを続けるべきか、それとも諦めるべきか。朱里は、これまでの人生をかけたテニスを前に、大きな岐路に立たされていた。


毎日、朱里は悩みに悩み抜いた。コートに立つ自分を想像しては、涙がこぼれた。手術を受ければ、大好きなテニスから遠ざかるかもしれない。でも、このまま痛みを抱えながらプレーを続けるのも、難しい。将来のことも考えなければいけない。


そんな朱里を気遣い、優しく声を掛けてきたのが、山内翔太やまうちしょうただった。翔太は、朱里と同じ大学に通う、気さくで明るい青年だった。テニス部ではないものの、朱里の苦悩を察し、彼女の練習風景をいつも遠くから見守っていた。


「三島さん、大丈夫?」


翔太の優しい言葉は、朱里の心に温かい光を灯した。朱里は、翔太に自分の悩みを打ち明けた。翔太は、朱里の話をじっくりと聞き、彼女の気持ちを理解しようと努めた。


「手術は怖いよね。でも、朱里は今までどれだけ努力してきたんだ?インターハイ出場だって、すごいことだよ。その努力は、決して無駄じゃない。手術後も、テニスを続ける道はきっとあるよ」


翔太の言葉は、朱里の心に勇気を与えた。翔太は、朱里がテニスを諦めることを決して許さなかった。彼は、朱里の才能を信じ、彼女の可能性を信じ抜いていた。


 翔太は、朱里と一緒にリハビリに励んだ。朱里が落ち込んでいる時は、励まし、朱里が頑張っている時は、一緒に喜び合った。翔太の温かいサポートは、朱里にとって大きな支えとなった。


 手術は成功し、朱里はリハビリに専念した。翔太は、いつも朱里のそばにいて、彼女を支え続けた。時には厳しく、時には優しく、翔太は朱里の成長を見守っていた。


 そして、数ヶ月後、朱里はコートに帰ってきた。手術の影響で、以前のようなプレーはできないかもしれない。それでも、朱里はコートに立つことができた喜びを感じていた。翔太は、そんな朱里の姿を遠くから見守り、心の中で応援していた。


朱 里は、以前のように華麗なプレーをすることはできなかったかもしれない。しかし、彼女は、翔太の支えと、自身の努力によって、新たなテニススタイルを確立した。それは、以前とは異なる、より成熟した、そして力強いテニスだった。


 大学卒業後、朱里はプロテニスプレーヤーを目指し、翔太は、彼女のマネージャーとして、朱里を支え続けた。二人は、互いに協力し合い、共に夢に向かって歩みを進めていった。そして、朱里は、プロテニスプレーヤーとして成功を収め、数々のタイトルを獲得した。その成功の陰には、いつも翔太の存在があった。


 朱里と翔太の物語は、決して順風満帆ではなかった。しかし、二人の絆と努力によって、ハッピーエンドを迎えた。朱里は、テニスの世界で成功を収め、翔太との愛を育み、幸せな人生を歩んだ。それは、彼女が決して諦めなかったこと、そして、翔太というかけがえのない存在に出会えたことによる奇跡だった。 朱里の成功は、彼女の努力と才能だけでなく、翔太の献身的なサポート、そして彼女自身の強い意志の賜物だったと言えるだろう。

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