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第74話 『一隅を照らす』 私たちは偉大なことはできません。偉大な愛で小さなことをするだけです。④

「え?なになに? これは、え~と僕ってこと?

ファイナルアンサー?」

僕は念の為イヴに執行猶予を与え、

もう一度彼女の意思確認をしてみた。


「キュイ」


「そうか、そうか。

だよね~。こんな女々しくて幸が薄い奴って言ったら、

僕しかいないよね~w

…………? 僕?

って、そんな訳あるか~い!」


「アハハ、ハハハハハ、アハハハ、ハー、ハー!」


「そこー! そんなに笑うな~!」

僕は顔を真っ赤にし恥ずかしさで照れながら、

無邪気に笑うイヴにイエローカードを出した。



『ポン』

あれ、さっきまでイヴの肩にのっていた子猫だ。

急に地面に降りてきてどうしたんだ?


『じゃ~』


「あー!こいつ!

僕の似顔絵におしっこしやがった!

このやろー!」

おしっこをかけた子猫ちゃんは、用を終えると、

その場からどこかに行ってしまった。

「あ!、逃げんな! こら!」


「アハハ、ハハハハ、ハハハ、ハー、ハー、ハー!」


「おい、イヴ!!笑いすぎー!

笑いすぎて息切れしとるやんけ!」


僕はおそらく、人類史上初めてギャグをかました男になるだろう。

そして、この遺業は伝説として語り継がれていくことだろう。

『古代の中心でギャグを叫ぶ』なんつって。



僕は気を取り直して、今度はイブを描いた。

「よ~し、今にみてろ~イヴ。

にしししし」

さっき笑われた恨みもあり、

僕はイヴをおもいっきり不細工に描いてやった。


「お待たせいたしましたイヴお嬢様。

どうぞ、こころゆくまでご堪能ください。

ささ、こちらでございます」

僕はまるで女王に仕える執事のように、

心の内の笑いをこらえながら

彼女を似顔絵の手前まで案内した。


イヴが似顔絵をみて面白いリアクションをみせてくれるまで、

執事のキメポーズでじっと下を向いて笑いを必死にこらえながら待機している僕。


「ウー!」

イヴが突然、僕のすぐ頭上を指先したみたいだった。


「誤魔化そうとしても騙されないぞ」


僕はキメポーズのままイヴのリアクションをスルーした……


のが間違いだった。


『びちゃ!』


「あれ? 今頭に何か落ちて……」

僕はすぐに頭の上を確認した。


「何だかべっとりするぞ。

って、これスズメのうんこじゃね~かー!」


「アハ、ハハハハ、アハハ、ハハハハ、アハハハハ、ハハハ!」


「そこー!そんなに笑うなー!」


「ニャハハ!ニャハハハハ!ニャハ!ハー、!」


「こら!イヴの子猫! お前まで人間みたいに笑うなー!」


イヴと彼女の子猫は、僕のあられもない姿に

ひたすら大爆笑だった。


いつの間にか、僕まで笑っていた。


それは本当に楽しいひとときだった。

なによりもイヴの笑顔がたくさんみれたことが一番嬉しかったし、

生きるのが大変なこんな時代であっても、幸せをみつけて生きていくこともできるんだなって。

人間が幸せに生きたいと願う本能や適応力ってすごいんだなって、僕はつくづく感じた。

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