「え?なになに? これは、え~と僕ってこと?
ファイナルアンサー?」
僕は念の為イヴに執行猶予を与え、
もう一度彼女の意思確認をしてみた。
「キュイ」
「そうか、そうか。
だよね~。こんな女々しくて幸が薄い奴って言ったら、
僕しかいないよね~w
…………? 僕?
って、そんな訳あるか~い!」
「アハハ、ハハハハハ、アハハハ、ハー、ハー!」
「そこー! そんなに笑うな~!」
僕は顔を真っ赤にし恥ずかしさで照れながら、
無邪気に笑うイヴにイエローカードを出した。
『ポン』
あれ、さっきまでイヴの肩にのっていた子猫だ。
急に地面に降りてきてどうしたんだ?
『じゃ~』
「あー!こいつ!
僕の似顔絵におしっこしやがった!
このやろー!」
おしっこをかけた子猫ちゃんは、用を終えると、
その場からどこかに行ってしまった。
「あ!、逃げんな! こら!」
「アハハ、ハハハハ、ハハハ、ハー、ハー、ハー!」
「おい、イヴ!!笑いすぎー!
笑いすぎて息切れしとるやんけ!」
僕はおそらく、人類史上初めてギャグをかました男になるだろう。
そして、この遺業は伝説として語り継がれていくことだろう。
『古代の中心でギャグを叫ぶ』なんつって。
僕は気を取り直して、今度はイブを描いた。
「よ~し、今にみてろ~イヴ。
にしししし」
さっき笑われた恨みもあり、
僕はイヴをおもいっきり不細工に描いてやった。
「お待たせいたしましたイヴお嬢様。
どうぞ、こころゆくまでご堪能ください。
ささ、こちらでございます」
僕はまるで女王に仕える執事のように、
心の内の笑いをこらえながら
彼女を似顔絵の手前まで案内した。
イヴが似顔絵をみて面白いリアクションをみせてくれるまで、
執事のキメポーズでじっと下を向いて笑いを必死にこらえながら待機している僕。
「ウー!」
イヴが突然、僕のすぐ頭上を指先したみたいだった。
「誤魔化そうとしても騙されないぞ」
僕はキメポーズのままイヴのリアクションをスルーした……
のが間違いだった。
『びちゃ!』
「あれ? 今頭に何か落ちて……」
僕はすぐに頭の上を確認した。
「何だかべっとりするぞ。
って、これスズメのうんこじゃね~かー!」
「アハ、ハハハハ、アハハ、ハハハハ、アハハハハ、ハハハ!」
「そこー!そんなに笑うなー!」
「ニャハハ!ニャハハハハ!ニャハ!ハー、!」
「こら!イヴの子猫! お前まで人間みたいに笑うなー!」
イヴと彼女の子猫は、僕のあられもない姿に
ひたすら大爆笑だった。
いつの間にか、僕まで笑っていた。
それは本当に楽しいひとときだった。
なによりもイヴの笑顔がたくさんみれたことが一番嬉しかったし、
生きるのが大変なこんな時代であっても、幸せをみつけて生きていくこともできるんだなって。
人間が幸せに生きたいと願う本能や適応力ってすごいんだなって、僕はつくづく感じた。