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第73話 『一隅を照らす』 私たちは偉大なことはできません。偉大な愛で小さなことをするだけです。③

結果から言おう。

彼女はあっち向いてホイのルールを理解していない。

いや、わざとだと言うべきかな?


僕がじゃんけんに負けたから顔を上下左右どれかに振り向く番だったんだけど、彼女は僕がそれである方向を向いた時に

何故か必ずそのあと、ビンタしてくるんだ。

もちろん、初めはわからないでやってたみたいだけど、

たぶん途中からは僕の反応が面白くて続けたんだろう。

いや、そうに違いない。

なんて悪い奴め。


「待って待って!

今、いい遊び思いついたから」

僕はこのままだと、頬っぺたがキン◯スライムみたいに

なりそうだったから、違う遊びを提案することにした。


僕がそう言うと、イヴはビンタを止めてくれた。

そして、まるで子犬のようにまた目をキラキラさせて上目遣いで

待ってくれていた。


僕は、地面の土の上に、細い木の枝を使ってある似顔絵をイヴに描いてみせた。

「これ、な~んだ!」


「クスクスクスクス!」

イヴは理解して笑っている。


「わかるよね!イヴの考えていることたぶん正~解!

答えは『ボス』。

やったね~!イェイ」

僕は、嬉しくて、イヴに向かってピースをした。

「ボスはみんなの前でいつも鼻くそをほじる癖があるからね。

それを覚えていた僕の勝利~!」


「ウー!ウー!」


「え?イヴも描いてみたいの?いいけど、

絵は描いたことあるの?」


「ウー!ウー!」

イヴは描く気満々みたいだったから、僕は彼女に細い小枝を渡した。


イヴは本当に楽しそうに絵を描いている。


あれ、この見るからに女々しそうで幸の薄そうな似顔絵は誰の絵なのかな?


僕は、イヴが彼女自身の見かけや性格に悲観しながら描いたんだと思ったんだ。

僕は身振り手振りでイヴの肩を軽く叩いたりとかして、とにかく彼女を励まそうと考えた。


「キュ~イ」

し、し、しか~し!!

急に何を思ったかイヴの奴、その似顔絵と僕を交互に指差しやがったんだ。

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