それは遠い昔、遥か宇宙の彼方で起きた大事件がきっかけとなって生まれた壮大な物語だ。
約800万年前、宇宙のどこかで超新星が爆発し、その影響が地球にまで届くこととなった。
この壮大な事件の舞台は、地球の海底に存在する鉄鉱床であり、そこには今も宇宙線が降り注いだ痕跡が残っている。
ある学説によると、今から約260万年前にこの宇宙線のシャワーが地球の環境に大きな影響を与えたと言う。
その説によれば、大気の下層で起きたイオン化現象により落雷が増え、世界中で山火事が多発した。
そして、その影響で、豊かだった太古のアフリカの森林地帯は燃え盛り、やがて現在のような広大なサバンナへと変貌を遂げた。
その証拠は現在も地層に残っている。
研究によれば、当時の地層からは炭素量の増加が検出され、大規模な火災の痕跡だと考えられている。
この環境の大激変は、それまで木々の間を安全に移動していた僕たちの遠い祖先、類人猿たちに新たな生き方を強いることとなった。
類人猿たちはもはや木の上で安穏としていられない。サバンナという新たな環境で生き抜くため、彼らは進化を遂げた。
そして、その進化の方法とは、エネルギー効率の良い長距離の移動と、高い位置から敵を見渡す能力の獲得だった。
つまり、直立二足歩行をきっかけとして、
ここから僕たち人類の長い歴史が始まったのだ。