※今話中盤には一部センシティブな表現が含まれます。観覧の際はあらかじめ充分ご注意いただきますようお願い致します。
◇ねえ?
君はさ……、
科学文明が人を幸せにしてきたと思う?◇
『誰!?』
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「なんて綺麗なんだ……。信じられない」
僕はまるで、まだ誰も知らない秘境で、
無数に色とりどりの宝石が散らばる果てしない真っ暗な洞窟を見つけたかのように興奮していた。
そして僕は、顎をしっかり上げないと見えないくらい高い所にあるほんの少しの範囲でほんの一瞬流れた刹那の奇跡に思わず右手をかざした……。
僕の手はもう人間のそれでは無かった。
手の甲の部分まで毛むくじゃらで、まるでオラウータンのようだった。
そして、目線の高さが地面に対して小学校低学年の頃のようにかなり低くなっていたので、しばらく歩くことすら難しかった。
僕は、恐る恐る下を向き自分の身体を確認してみた……。
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ヒトがかつて、大自然に対してまだか弱き動物に過ぎなかった太古の時代、
星空を見上げることが大好きな
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『うっっ、
うおおおぇええええええ~っつ!
びちゃびちゃびちゃびちゃ、
ぴちゃっ、ぴちゃっ』
僕は、最初の食事を全部吐いて一口も食べられなかった。
もはやそれは、食べ物と呼べる生易しいモノでは無かったのだから……。
火を通していない草食動物の生肉だった。
そして、そのツンとくる独特な匂いから、
僕は胃がむせくりかえるような暴力的な吐き気をもよおし、
その生肉が既に腐っていると確信した。
きっと、サーベルタイガーなど、肉食獣の食べ残しをもってきたに違い無かった。
ものすごく臭く、想像を絶する程不味そうだった。
それでも僕は、食べて生き延びる為にと目を瞑り鼻をつまみ、一口で呑み込もうとはした。
しかし、現代人の味覚を忘れていなかった僕の体から強い防御本能が働いてしまい、結果的に強烈な吐き気とともに嘔吐物と一緒に勢いよく吐き出されてしまった。
僕が試行錯誤の学習の結果、やっとのことで火をおこし、
焼いて食べようとその肉に火を付けたまさにその瞬間だった。
背後からボスがやってきて、そして、
僕を殴った。
「え……?」