ジン大将から衝撃的な発言を受けた後、リッカは業務を終わらせ帰宅していた。
もちろん、仕事に支障をきたすことはない。
だが、頭の中にシュウのことがこびりついていた。
(シュウが、殺人を犯した。たかが1か月の付き合いだけど、私には信じられない。仮に事実だとしても、何か理由があるはず。……でも、話していいのか分からない。)
アイラは技術班の仕事が忙しいらしく、今日は帰れないと連絡が入っていた。
リッカは帰りに買った柔らかいパンと、コーンスープをテーブルに並べる。
「いただきます。」
パンはこんがりと焼かれており、中はもちもちとした美味しいもの。
コーンスープも、濃厚さとミルクの甘さが重なり口どけ滑らか。
美味しいご飯を食べながら、リッカはネームレスのことを思う。
(私は、ネームレスに対して指揮をすることはできる。けど、本当の意味で助けることは出来ないの?……シュウはネームレスのことを口にできない、何か方法はないかな。)
食事を終え、リッカはベッドに横になる。
(1番早いのは、私がネームレスのところに行くこと。でも、それを実現させるには私自身が強くならないと、ただ国の方針を裏切ることにもつながる。それは、果たして正しい行いなの?分からない、私には。)
バサッ。
布団を頭まで被り、静かに息を吸う。
(いや、迷っている時間がもったいない!偽善と思われるかもしれない、けど私は、ネームレスの力になりたい。前例がないなら、私がなればいい。)
決意を固めた瞬間、
リッカのビットに警告音が響き渡る。
「っ!?こんな夜中に!?」
「敵発生、ネームレス部隊緊急出撃を依頼します、リッカ見習い準備を。」
ロボット音声が、出撃要請を出す。
「モンスターが夜に出てくるなんて、王国の近くではあり得ない。ネームレス、いったいどこにいるんですか?」
リッカはその場で服を脱ぎ、制服に着替えて城に全速力で向かった。
ネームレスの4人も、警告音を聞き闘服に着替えていた。
「今月も終わるって時に8回目の襲撃が、夜中か。最近襲撃回数が本当に増えたな。ゆっくり眠らせてもくれないってのか。」
「準備終わり次第出撃するぞ、この時間じゃ
ピッ!
シュウが話し終える前に、ビットが起動する。
「
(嘘でしょ!?うちらの戦いにこんな時間でも出てくるわけ!?本当、何が狙いなのこの
「
「
「了解。」
4人は準備を整え、戦闘地域に向かう。
夜は月と星の光のみで、視界は数メートル先がやっと。
「辺りの視界はとても悪いと思われます、各員、再度、熱探知機能の活用を忘れずに。」
「了解です、
「俺の目もこの暗さじゃ使い物にならない、それに最近深夜の戦闘はなかった、運が悪いな。」
「運だけならいいけどね、うちらは何があっても任務をやらなきゃいけないんだから死なないように倒すだけだよ。」
武器を構え、4人は着実に1歩ずつ進んでいく。
「
「了解しました。昼間とは変わって、自分と
「そうですね、夜はその構成が私も良いと思います。ただ、敵の殲滅をすることに集中しすぎないようにしてください、夜の戦闘は私の経験が浅いので、
「了解しました。」
さらに進んでいくと、
ピッ。
シュウに対して、リッカが個別通信を入れる。
「
「問題ありません、個別通信でするということは何か重要なことですね、何でしょうか?」
「ありがとうございます。ネームレスは、明らかに王国の他の部隊とは違う存在と認識してます。
「そうですね、厳密には覚えていませんが、3年以上はいると思います。意外ですね、
「あ、いえ、少し気になっていることがあるので。作戦中に失礼しました、引き続き辺りの警戒を……っ!?熱探知に反応あり!数は3!」
リッカのコントロールルームから、3体の敵の反応を検知する。
「
「
(マジかよ、そんなものまで見えるのか、この
リッカは熱探知機能を魔力を増幅させ、半径50mにまで伸ばしたことで先に気づけた。
4人が戦闘体制に入ると、4時の方角から弾丸がシュウ達の隠れている岩の壁を撃ち抜く。
「敵からの攻撃を確認しました、相手はこちらよりも正確に位置を把握してると思われます、
「了解しました、お気をつけて。バックアップは、お任せください。」
視界が悪く、レイダーの方が有利な状況。
そんな中、夜の戦いが幕を開けた。