カナデは森の広場に現れ、そこには魔法の使用が最近あったことを示すかすかな残留エネルギーの光が漂っていた。彼女は周囲を急いで見渡し、ユウとヒカリに何かが起こったのではないかと心配して胸が高鳴った。
カナデ: (つぶやきながら) 「お願いだから、無事でいて…」
歩きながら、足元で葉っぱがささやき、枝が軋む音が、森の不穏な静けさと混ざり合っていた。遠くに青い光がわずかに見え、それがユウとヒカリが近くにいることを示していた。
光の元にたどり着くと、ユウとヒカリが地面に座って、葉っぱや埃に覆われているのを見つけた。二人とも無傷のようだったが、明らかに不快そうだった。ヒカリは緊張しながら笑っており、ユウは困惑の表情を浮かべていた。
カナデ: (腕を組み、厳しい口調で) 「一体何をしていたの?」
ヒカリは無邪気な笑顔で手を上げた。
ヒカリ: 「隠れていたんだよ!僕の素晴らしいアイデアだったでしょ、ユウ?」
ユウはまだ顔を赤らめながら、視線を逸らし、答えることができなかった。
カナデ: (ユウを見つめながら) 「あなたは? どういうことか説明してくれる?」
ユウは口を開こうとしたが、言葉が出なかった。カナデの視線の強さに、彼はその場で凍りついたようだった。
ヒカリ: (立ち上がり、髪から葉っぱを払いながら) 「まあ、結局大丈夫だったでしょ? 私たち生きてるし。」
カナデは眉をひそめ、ヒカリに一歩近づいた。
カナデ: (危険な口調で) 「生きてるからって、それがあんたがユウを女の子の更衣室に引き込んだ理由にはならないわよ。何を考えていたの?」
ヒカリは両手を挙げて降参のポーズを取り、気楽に笑った。
ヒカリ: 「ほら、カナデ、そんな大したことじゃないって。だってモンスターには見つからなかったし。素晴らしい戦略だったよ。」
カナデ: (歯を食いしばりながら) 「それがユウを危険に晒した事実を変えるわけじゃない。」
空気の緊張が伝わる中、ユウは介入すべきだと思い、ついに口を開いた。
ユウ: (戸惑いながら) 「彼女は僕たちを助けようとしていただけだよ。あのモンスターがしつこすぎただけで…」
カナデはユウをじっと見つめ、その表情が少し和らいだが、まだ心配の色が残っていた。
カナデ: (ため息をつきながら) 「わかった。でも次はこんな無謀なことはしないで。もし何かあったら…」
ヒカリはカナデの表情が変わるのを見て、雰囲気を軽くしようと決めた。
ヒカリ: (いたずらっぽい笑顔で) 「あれ、カナデがユウのこと心配してるの? それってすごく甘いよ。」
カナデは少し顔を赤らめ、視線を逸らした。
カナデ: (うめきながら) 「うるさい! 私はただの巫女としての務めを果たしてるだけよ。」
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議論が続く前に、リカが広場に現れ、冷静に歩きながらも明らかに疲れていた。彼女の刀は鞘に収められ、制服には引っかき傷と埃の汚れがついていた。
リカ: (眉を上げて) 「何かを中断してしまった?」
カナデは腕を組み、ヒカリに一瞥をくれると、リカに向き直った。
カナデ: 「いいえ。更衣室のモンスターは倒したの?」
リカ: (うなずきながら) 「はい、でも簡単ではなかった。予想以上に耐久力があった。」
ヒカリはその機会を逃さず、リカに近づいて笑顔を見せた。
ヒカリ: 「こんにちは! ところで、あの刀、すごく上手に使ってるね。どこでそんな技を学んだの?」
リカは警戒心を持って彼女を見返し、姿勢が硬直した。
リカ: 「訓練だよ。どうしてそんなことを聞く?」
ヒカリ: (肩をすくめて) 「ただの好奇心。ずっと刀ってかっこいいと思ってたんだ。」
カナデは真剣な口調で会話を遮った。
カナデ: 「ここから出るわよ。まだ他のクリーチャーが来るかもしれないから。」
リカはうなずいたが、その目はユウに向けられた。
リカ: (軽いため息をつきながら) 「無傷で済んだのは運が良かったね。次はそんなに遠くに行かない方がいい。」
ユウ: (小声で) 「うん、ごめん…」
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広場を後にする準備をしていると、カナデは空を見上げ、その表情が暗くなった。
カナデ: (自分に向かってつぶやくように) 「何かおかしい。あのクリーチャーたち…あまりにも多すぎる。これは偶然じゃない。」
ヒカリは彼女の心配を感じ取り、近づいた。
ヒカリ: 「どうしたの? 何か言い忘れてることがあるの?」
カナデは首を横に振ったが、その目は真剣だった。
カナデ: 「ただの嫌な予感よ。次に備えておいた方がいいわ。」
その警告を受けて、グループは安全な場所へと歩き始めたが、真の脅威がこれから明らかになることに気づいていなかった。
第章 終わり