ここにいる全員が、刺すような視線で彼をまなざした。
コンクリートの打ちっぱなしで構成されたこの広い部屋の端で、泣きながら震えているツインテールの男を。
男社会――特に今みたいに命がかかっている場所では、一度カーストが底辺に落ちたら最後、一生這いあがることはできない。
みんな、誰も何も言わなかったけれど『もうあいつは終わりだ』と内心思っていたはずだ。
「みんな、生贄投票は済んだ~? もうすぐ六時だよ」
自称ホストこと屑山が、少し声を弾ませて言う。自分は安全圏にいるからな。
壁にかけられている時計の針が、ちく、たく、ちく、たく……そして、ちょうど六時になった。
――カ゛ラン゛、コ゛ロ゛ン、ギロ゛ン、ボロ゛ン。
ここに連れてこられて目覚めてすぐに聞いたのと同じ、あの不気味なチャイムの音だ。その音が鳴り終わるのと同時に、バツン! と音がした。
そして、ブラウン管テレビの画面に『生贄投票』の結果が表示される。