突然足元にあるブラウン管のテレビがついて、びっくりして尻餅をついてしまった。ルール説明を終えたら、もう出てこないと思ったのに……。
僕は立ち上がり、痛む尻をそっと撫でながら、ブラウン管テレビの画面に映るうさ耳ピエロマスクの人物を見た。
『生贄投票は、毎日必ずやってもらうからね。生存者で参加してない奴は、即死刑! ちなみに、さっきも言ったと思うけど、生贄投票は夜六時までだからね! じゃ。これからカニ食べるんで。呼ぶんじゃねーぞ!』
バツン! と音がして、画面には再び砂嵐だけが映し出される。
「おい! やべぇぞ! 六時まであと五分しかねぇぞ!」
筆川が慌てた様子で、壁にかかった時計を指さした。
「どうする? 誰に投票する?」
みんな、きょろきょろとあたりを見渡す。肉食獣のような眼光で。投票で生贄に選ばれれば、あの強制M字開脚生き恥チェアに座らされることになる。しかも全裸で。
全員が、己のケツ穴と尊厳をかけて獲物を探す中、視線が一点に集中する。
「なぁ、今日の生贄投票、アイツにしねぇ?」
ロン毛で髭の男――筆川は、卑屈そうに口の端を吊り上げて笑った。