「んじゃ、どうするよ。これから」
ボロボロの角机にもたれかかり、ロン毛で髭の男は言った。
角机の上に置かれていたブラウン管テレビは、みなさんご存じの通り、ふくよかで丸刈りの男によって床に蹴落とされていた。そして、さきほどまで画面に映っていた、このデスゲームの主催者であろううさ耳のついたピエロマスクの人物はもう、ブラウン管の画面の中にはいない。ジジジという音を立てて砂嵐が映されるのみだ。
「こういうときは、やっぱ自己紹介をしとくのがセオリーっしょ」
ジャージを着た若い男の発言に
「じゃあ、時計回りに自己紹介をしましょう! まずは俺から」
と仕切りだす学ランを着て眼鏡をかけた真面目そうな男の子。
「俺はやんねぇからな! こんなクソゲー!!」
ドン! と、苛立ちをぶつけるようにボロボロの角机に拳が振り下ろされる。突然の大きな音に心臓がバクバクしていると、拳の主は、先ほどからうさ耳ピエロマスクに食ってかかっていたふくよかで丸刈りの男だった。
彼は、彼のせいで床に置かれる羽目になってしまったブラウン管のテレビを踏みつけ、挑発するように声を荒げる。
「おい! 主催者のデブピエロ! 見てるんだろ!! 俺は参加しねぇからな! このクソゲー!!!」
『えー? やんないのー?』
さっきまで砂嵐だったブラウン管テレビの画面に、再びうさ耳ピエロマスクの姿が映し出された。
なるほど。たしかに、ふくよかで丸刈りの男が言うとおり、主催者がどこかで僕らを監視しているというのは事実のようだ。
「やんねぇよ、ばぁあああ~~~か!!」
『えぇー。困っちゃうなぁ』
「困ったらどうすんだよ?」
ふくよかで丸刈りの男の挑発に対し、うさ耳ピエロマスクはしばらく腕組みをして困ったジェスチャーをしていたが、
『う~ん、殺しちゃえ!』
爆発音がして、ふくよかで丸刈りの男の血と臓物があたりにまき散らされた。