「は……?」
「なっ」
僕ら十人に、動揺と緊張が走る。薄々気づいていたけれど、『答え合わせ』がされたことで、自分たちがデスゲームの参加者であるという事実が容赦なくつきつけられた。
自分が死ぬかもしれないという状況に直面してフリーズする僕らを、現実に引き戻したのは
「ふざっっけんじゃねーよ!!!!」
ふくよかな丸刈りの男だった。
彼は、ブラウン管のテレビが上に乗った、木でできたボロボロの角机に勢いよく蹴りを入れた。
「なっ……馬鹿お前!」
「ひゅぅ~♪」
スーツを着たサラリーマン風の男がうろたえ、横髪を三つ編みにした中華服の男が口笛を吹く。止めようとしたジャージの若い男を、ふくよかな丸刈りの男は睨みつけて制止させた。
ブラウン管のテレビは、横転したボロボロの角机から転がり落ち、ガシャンと音を立てて打ちっぱなしのコンクリートの地面に側面を下にして着地した。
『おやおや、ひどいことするねぇ~おデブちゃん』
砂嵐だったブラウン管のテレビに、再びうさぎの耳がついたピエロマスクの人間の姿が映し出される。
「デブはお前もだろうが!! さっさと俺を家に帰しやがれ!!!!」
ふくよかな丸刈りの男は吠え、うさ耳ピエロマスクは肩をすくめた。
『じゃあ、デスゲームのルールを説明するね』
「おい! 聞いてんのかよおい!!」
『まず、君たち十人にやってもらいたいのは』
「ふざけんじゃねーぞデブ!!!!」
『うるっせぇんだよこの豚野郎!!!!』
うさ耳ピエロマスクは耐えきれずに叫んだ。それに一瞬、ふくよかな丸刈りの男は気圧されて黙った。
会場が静かになったところで、学ランを着た眼鏡の真面目そうな男の子が、横倒しになったブラウン管テレビを、えいやと縦に戻した。
そして、ピエロマスクはそれを待っていたかのように、耳くそをほじっていた手を自分の服で軽く拭き、ルールの説明を始めた。