今度こそ、はっきりと目が覚めた。これは、現実だ。じんじんと痛む頬を片手で押さえながら、僕はゆっくりと上体を起こした。そして、目の前に不機嫌そうに居座る
「……というか、僕今殴られた!?」
「テメェが起きねえのが悪ぃンだろ」
りんちゃんは、フンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。『ああ、君は相変わらずだな』なんて、口元が緩んだ。
「あンだよ?」
「えっ、別に何も……久しぶりだね」
「……おう」
それっきり、二人黙りこくった。気まずい。いてもたってもいられなくなって、下を向いた。あ、下を向くとちょっと首が痛い。というか、今気が付いたんだけれど、床は打ちっぱなしのコンクリートだ。
ここはどこなんだろう……? きょろきょろと、あたりを見渡す。広い。体育館みたいな場所だ。でも、ステージやバスケットボールのコートみたいなものは何もない。ただただ、薄灰色の無機質な空間が広がっているだけだ。
それに、そこには、りんちゃん以外にも何人もの人間がいた。いち、に、さん、し、ご……僕を入れて十人だ。なんなんだろう……?
「ねぇ、りんちゃ……」
じわりと、心に得体のしれない不安感が広がって、それを払拭するように顔見知りの彼の名を呼んだその瞬間、不気味なチャイム音が鳴り響いた。