ウルリックはライラに向き直る。
「ライラさんよ、俺たちと一緒に来てくれるよね? エドワードとも知り合いみたいだし。こいつがまたキモオタに戻ってしまわないように、見張っててくれないかな?」
ライラは腕を組んで、怖い顔をしてこちらをにらんでいた。
おっぱいが腕の上に乗っている。すごいボリュームだ。最初に見た時は修道女のユニホームを着ていたこともあって、おとなしいイメージがあったのだが、こうして見ると怖いな。なんというか、つまらないことをしたら、すぐに怒られそうだ。
「まっぴらごめんだわ。あなたたちこそ、彼がまたつまらない魔法の影に隠れないように、よく見張っててちょうだい。キモオタに逆戻りしたら、ここに引っ張ってでも連れてきて。またお灸を据えてやるから」
彼女とはどういう関係なんだ?とエドワードの耳元で聞くと「幼馴染だよ」と答えた。
なんだって? こんなにかわいい幼馴染がいるなんて、反則だぞ。
「え? でも、一緒に来て自分で見張っていた方が、話が早くね?」
ウルリックは諦めない。
まあ、そうだろう。ライラは美人だ。巨乳だし、それに俺たちは彼女の生足を見てしまった。もう惚れてしまった。ライラのためなら、どんな危険なクエストにも挑戦できる。彼女の命令ならば、どんな屈辱的なことでも甘んじて受け入れよう。
何かちょっとズレているような気がするが、とにかくライラが参加したパーティーを想像すると、楽しいことしか思い浮かばない。
…。
いや、そうでもない。ベンが四六時中、彼女をいやらしい目で見つめ続ける様子を、ありありと思い浮かべることができる。ウルリックはひどいヤツだ。ライラを手に入れるためならば、俺たちを罠にはめるかもしれない。
そして何より、エドワードの実体はこんなにかわいい。ライラだって、こいつのことを「かわいい」と思っているかもしれない。この2人がパーティー内でカップルになりでもすれば、俺は発狂する。間違いなく。
ジェシカの言っていたことが、突然腑に落ちた。1対4のパーティーはうまくいかない。うまくいかない情景を、まざまざと思い浮かべることができた。そんなことになるくらいなら、エドワードをダシにして、たまにライラに会いにくるという方がよほどいいように思える。ライラはかわいすぎる。同時に怖すぎるという側面もあるが。
「私、修道女としてここで働いているの。あんたたちが思っている以上に忙しいんだから。冒険に行っている暇なんてないのよ」
ライラは今度はお尻の方からスカートをたくし上げて、ムチを腰の後ろに仕舞った。見えない。前からたくし上げてくれないと、生足が拝めない。実に残念だ。
「エドワードも冒険なんてしている暇があったら、戻ってきて一緒に仕事をしてちょうだい。信仰は大切よ」
腰に手を当てて、フンと胸を張った。おっぱいがポヨンと揺れる。いい。いいね。最高だよ。何度も繰り返して見たい。
「それは違うよ、ライラ」
そういえば、こんな性格のくせに、どうしてエドワードは冒険者なんてやっているのだろう。どう考えても修道士の方がお似合いだ。
「今、人類は滅亡の危機に瀕している。魔族が今より少しでも攻勢を強めれば、僕たちはあっという間に絶滅してしまう。だからこそ冒険に出て、魔族のことを研究して、人間が生き延びる道を探し出さないといけないんだ。僕にとって冒険は、人類を救うための手段なんだ。信仰では救えないよ」
えっ。
えらくスケールの大きなことを考えていたんだな。確かにイースの城壁の外は魔族の世界で、人間はずっとこの北国に押し込められたままだ。最近では城壁内にも魔族が侵入して、人間から居住地域を奪っているとも聞く。だけど、絶滅するなんて考えたことはなかった。確かに魔族は人間を捕って食うけど…。
ライラはまた「ふう〜」とため息をついた。