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第137話 ギルド女神の息吹の挑戦

 ギルド、女神の息吹は、政府管理の朝霞ダンジョンの前に集まっていた。

 メインの討伐担当は、美織と阿平だ。


 美織のスキルが配信前提ということで、今回は“異界の門”の前哨戦として、配信の許可が降りた。


 メイソン・オーシャンが、美織がいるなら参加してもいい、と言ったことも大きかったようだ。


 あとは“異界の門”に参加出来る実力を示せば、“異界の門”でも配信をしてもいい、という条件を取り付けることが出来た。


 ダンジョン協会のかなりの後押しがあったらしく、初めて朝霞ダンジョンが配信にのることもあり、かなりの待機人数が配信を今か今かと待ち構えていた。


 女神の息吹のSランクは阿平1人の為、ホーンモビーディックの討伐に手をかせるのは阿平だけだ。あとのメンバーはサポートに回ることになる。


 これは美織が実質Sランクの実力を持つということを、証明する為のクエストだ。

 特例として、“異界の門”の討伐クエストに参加させる為には、最低でもSランク相当であることを認めさせなくてはならない。


「体力を温存する為に、深淵に向かうまでの露払いは頼んだわよ。」

 阿平が女神の息吹のメンバーたちにそう告げる。


「はい、わかっています。」

「任せといてくださいよ!」

 笑顔でガッツポーズで応える、総勢30名のギルドメンバーたち。


「下層まではお前たちに任せる。いいな?」

 副ギルドマスターの井村が、装備を身につけながら言う。


「皆さん、よろしくお願いします。」

 美織は笑顔でお辞儀をした。

「難攻不落のダンジョンを、うちが落とすんだからな!こっちこそよろしく頼むよ!」


「……本当にだいじょうぶなんでしょうか?」

 メガネをかけたボブカットの女性が、心配そうに美織を見ていた。


「君はまだ入ったばかりだから知らないだろうが、彼女は中学生の時点でうちのギルマスとダンジョンに潜っていた実績のある子だ。今の実力はわからないが、あの時点で既に今の君よりも強かった。ギルマスが保証するんだから、おそらく問題はないさ。」


 そう真顔で言う井村。

「中学生でギルマスと……!?」

 それを聞いた女性は驚愕の表情を浮かべる。


 美織がホーンモビーディックとまともに戦えるだろうと思っているのは、女神の息吹の中でもAランク以上の人間だ。


 過去に何度か、ギルド加入前の美織とダンジョンに潜ったことがある。その頃から規格外だった少女。今はあの頃以上だと言われても、少しも違和感がなかった。


 だからこそ、阿平が美織と2人だけで挑むのだと聞いても、危険視することなく、女神の息吹にとってチャンスだと捉えていた。


 不安げにしているのは、美織と戦ったことのない、Bランクの面々だ。美織はギルドに加入してからも基本ソロな為、その実力を目の当たりにしたことがなかったのだった。


「さあ、行きましょう、蹴散らすわよ!」

 阿平の掛け声で、一斉に朝霞ダンジョンへと入って行く。先頭はBランク探索者だ。


:始まった……!

:これが朝霞ダンジョンか

:上層の時点でキラーアントが出るとか、確かにこれは深淵までしかないにしても、かなりレベルが高いな

:普通のダンジョンなら、中層からだよな

:これが高難易度ダンジョンか!


 物量作戦であっという間に上層をクリアし、中層へと駆け抜けていく。Bランクともなると、下層が主戦場な為、ここは問題ない通過点でしかない。


:中層でクレイジーラックーンパイセンが出るの!?

:おいおいマジかよ

:下層の魔物じゃん

:てことは、深淵までとはいえ、ここの深淵は……


 クレイジーラックーンはアライグマの見た目の魔物だ。アライグマ自体も本来凶暴な生き物とされているが、その限りではない。


 血走った目、常にたらしているよだれ。可愛らしさの欠片もない魔物だ。おまけに動きが素早く、集団で襲ってくる。


 だが仮にもBランク探索者が20人以上。中層もあっという間に通過し、下層へと突入した。下層の魔物はヒッポグリフ。グリフォンと雌馬の間に生まれたとされる魔物だ。


「くっ……!」

「普通の下層の強さじゃないぞ!」

 ここにきて、Bランク組が苦戦し始めた。


:あ、あ、やばい

:なんだよ下層でこの強さ!?

:本来深層にいる魔物だからな

:ここのダンジョンバグッてんだろ!


 おそらく本来の階層よりも、1段階上の魔物たち。本来出て来る筈の階層のレベル相当なのだろう。危険を感じ、体力を温存していたAランク探索者たちが、ついに参戦した。


 それにより、あっという間に制圧する。井村はもっともSランクに近いAランクという評価を持つ男だ。Aランク6名にBランクが20名。さすがに深層相当とはいえ、1体のヒッポグリフでは相手にならなかった。


「ここまで本来の階層に出る筈のない魔物が続いている。おそらく次もそうと見ていいだろう。そうなると、次は深淵相当だ。

 ……体力を温存してもらうというのは、難しいかも知れないな……。」


 井村はそう言いながら、深層につながる階段を降りて行った。


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