「これを本当に1人のスキルで出したと言うのであれば、量産体制に入ってもらって、有事の際に備えるようにしたい。探索者を除いた兵器として、魔物に有効なものが生まれたのは僥倖だよ。」
とある一室で会議を繰り広げる男たち。先日ガイル・ジャスティスが手に入れた、ジャスティカイザーの実験結果を映し出したスクリーンを見ながら感想をのべている。
ジャスティカイザーに変わる乗り物は、その時人が乗っていないものに限られるだけで、種類を問わないことがわかった。
試しに自衛隊基地で戦車や戦闘機をロボットに変形させてみたところ、演習に使用するミサイルよりも強力なミサイルを発射することが可能であることがわかった。
その威力がジャスティカイザーになった途端に上がるのだ。数を揃えて、ガイル・ジャスティス以外も搭乗出来るように出来れば、ダンジョンブレイクが万が一起きたとしても、国が対応可能になるのだ。だが。
「スキルの持ち主だと言われる少女に接触を試みましたが、何が出るかは自分の意思ではないとのことで、今回のように他人にアイテムが行く現象も初めてだとのことでした。」
「本来ドロップ選択のようなスキルだそうです。レア度が高い上位互換の。」
「時折個人を助ける、助けないの選択肢も出てくるそうで、本人も不思議には思っていたようですが。」
「人を助ける?
それで今回ロボットが出たと?」
「はい。」
「ふむ……。」
「長野県の“異界の門”を封じるメンバーに、そのスキルの持ち主を入れるよう、ダンジョン協会から要請が上がっています。」
「恐らくですが、スキルの持ち主が間に合わない場合、他者に力を委ねたり、助けるという選択肢が現れるのではないでしょうか?」
「だがまだ高校生なのだろう?一度クリアした場所に再び現れた“異界の門”は、最初のものよりもランクか高いと聞く。いくら特殊なスキルがあるとはいえ、そんなところに高校生を送り込んだと知られたら……。」
「ですが彼女は堂珍和也以来の、ソロで深層に潜れる高校生探索者です。それどころか、深淵も何度かクリアしたとか。」
「深淵を!?それも高校生が!?」
にわかにザワザワしだす。
「大人でも深淵をクリア出来る人間は少ない。ましてや深層をソロだなどと。」
「堂珍和也はアメリカに取られた。このままてをこまねいていては、堂珍和也の二の舞になるのでは?」
「中高校生全体に対するルールは撤廃出来ませんが、そろそろ我が国も特例措置について検討する時期にきたのではないでしょうか。貴重な人材の流出を防ぐ必要があります。」
「ただでさえ我が国には、国家転覆クラスも、災害クラスもいないわけですしね。」
「Sランクになれる可能性のある人材は、1人でも確保しておきたいところです。」
「彼女について追加の情報がございます。お手元の資料をご確認下さい。」
会議室にいる面々が、配られた資料を一斉にめくる。
「我が国ナンバー1の、高坂依織の娘だと!?」
「高坂依織を連れ戻したのが、その子だと言うのか。それもスノープリンセスを父親と、たった2人で5体も倒したと……。」
「“異界の門”を開けしめ出来る鍵をドロップから入手!?繋げる先を選べるだと!?これが本当のことならば……。」
「はい、これまでテロリストたちが“異界の門”を通じて各国に侵入出来た理由が明らかとなります。彼らのうちの誰かが、その鍵と同じものを持っているのでしょう。」
「その鍵は国が徴収出来ないのか?」
「使用対象者を限定するものだそうです。」
「彼女の持つユニークスキルといい、なんと規格外な……。」
「メイソン・オーシャン氏からも、彼女が参加するのであれば、“異界の門”の討伐に参加してもよいとの回答をいただいております。」
「おお……。メイソン・オーシャン氏が参加するのであれば、新たに展開した“異界の門”がさらなる高難易度であったとしても、クリア出来る可能性が高まるでしょう。」
「アメリカナンバー1からも、そこまで信頼されているというのか……。」
「我々は彼女の実力を目の当たりにしてはおりません。提出資料も必要です。1度念の為確認してから、許可を出すのではいかがでしょうか?」
「──わかった。高坂美織に深淵ダンジョンをクリアしてもらおう。彼女の実力を見せてもらおうじゃないか。その資料提出を持って、許可を申請するものとする。」
ダンジョン庁事務次官
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