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第63話 ギルド、ハードラック

「みなさまこんいお〜!今日は以前お約束していた、レベル測定をします!」

「ちょこっとイタズラしちゃうゾ☆?

 獄寺ちょこよ。ねえ、これほんとにあたしもやるの?」


「わ、私も呼んでいただいてよかったんでしょうか……。」

 蓼科沙保里も困惑したように言う。


「1番の目的は、沙保里ちゃんのレベル測定ですからね。」

「まあ、レベル的に、あんた、あたし、いおりの順番でいいんじゃない?」


「き、緊張しますぅ〜。」

 アップアップした様子で沙保里が言う。

「沙保里ちゃんももう、市販の測定機じゃレベルが測れないでしょうからね。今回はダンジョン協会から測定機を借りてきました。」


 美織はレベル測定機をテーブルの上に置いて、ニコニコと沙保里を見て笑った。

「それじゃ、早速測定していきましょうか。測定機に手をかざしてくださいね。」


:レベル300は越えてそうだよな

:楽しみ

:異常なレベリングの成果がここで

:ようやくはっきりするな


 沙保里が測定器に手をかざすと、ピピピピ……と音がして、356、とレベルが表示された。


「356、です……!」

「すごいじゃない!」

「やりましたね!沙保里ちゃん!」


 美織とちょこがパチパチと拍手をする。

「え、えへへ……ありがとうございます。」

 沙保里は照れくさそうに頭をかいた。


:中学生で300オーバーは、異常なのよ

:名実ともに中学生NO.1だな

:これであとは別のギルドなり、企業なりに行くだけだな

:大人でも200越えたらそれなりのとこからスカウトが来る


「私としては、いおりさんの作るギルドに入りたいですけど……。」

 もじもじしながら沙保里が言う。


「う〜ん。ギルドを作るには大人の力が必要ですし、今のところ考えていないので、いいところにスカウトしてもらうのがいいんじゃないかなって、私としては思うんですが。」


「そうですか……。」

 残念そうにうつむく沙保里。


:未成年にはギルド作れないもんな

:俺でよければ強力するよ

:俺も

:いおりんが求めれば、強力する人間はたくさんいそうだけどな


「ギルドって、運営も必要ですから。事務所を用意して、家賃を払って、最低でも5人分のお給料を支払って、毎年税務申告して……ってなると、気軽に人には頼めないですね、さすがに。他人の人生を背負うわけですから。やるとしたら、ギルドの目的や方向性も決めないとですし。」


:確かに

:いおりんしっかりしてんなあ

:サークルみたいなノリで出来たらいいんだけどな

:会社作るのとそう変わらんのがな


「でも、沙保里ちゃんがどこに所属したとしても、いつでもレベル上げは手伝いますから安心して下さいね。」

「ほんとですか?嬉しいです!」


 沙保里が安心したところで、今度は獄寺ちょこの番になった。ちょこが測定器に手をかざすと、ピピピピ……と音がして、2137とレベルが表示された。


「2137……!すごいです!」

「ふふ〜ん。まあね。あたしだってこう見えて上澄みなのよ。」

 ドヤる獄寺ちょこに、驚くコメント欄。


:え、せいぜい700くらいかと思ってた

:マジモンの上澄みやった

:トドメを横取りした成果か

:確かに、上位層の邪魔をして、トドメ横取りしてれば、2000オーバーでもおかしくないのか

:ズルだな

:ズルだ


「失礼ね!他の探索者にちょっかいかけ始めた時点で、1500は越えてたわよ!」


:1500までソロ!?

:いおりん程じゃないけど、結構バケモンだった

:それで寂しくなって迷惑系か

:ドンマイw


「うるさいわねあんたたち!」

 コメント欄にキレるちょこをなだめつつ、今度は美織の番になった。


 美織が測定器に手をかざす。ピピピピ……と音がして、7019、とレベルが表示された。それを見て目を丸くする、獄寺ちょこと沙保里。


「な……、7019!?」

「あ、この間のネクロマンサーで、レベルが上がったんですね。奈落の中じゃ弱いのに、なかなか経験値はおいしかったですね。」

 と美織はこともなげに笑った。


:ちょと待て、ネクロマンサーが奈落の中じゃ弱いっつったか?

:やっぱりこの子、奈落に日頃から潜ってやがったな!?

:マジモンの世界NO.1やんけ……

皇あかり:な、7000オーバー!?

ルカルカ:信じられない……いおりちゃん凄い……


 配信をROMっていた皇あかりとルカルカも、思わずコメントしてしまう。

「私より、沙保里ちゃんですよ!中学生でこれだけの実力があるとわかったと思います。ぜひ彼女をスカウトしたいというギルドや企業からのご連絡をお待ちしています!」

 美織は画面に向けて手を振った。


 その頃、沙保里の所属するオールダンパーのギルマス大山達夫は、上位組織ハードラックのギルマス中尾龍二に呼び出されていた。


「……お前らがダンジョンに置いてった中学生が、滅茶苦茶レベル上げて戻って来たんだって?あれほど配信者にゃ気をつけろっつったのに、何ばっちり見捨てるところを配信に映されてんだ、──よ!!」


 中尾が事務机を蹴り上げ、すっ飛んだ事務机が大山の真横の壁に激突する。

「す、すみません……。」


「あの娘にゃ、ちゃんと違約金を払わせる契約書を書かせてんだろ?」

「は、はい、もちろんです。」


「ならうちはあの娘を手放さねえ。それと、剣呑寺いおりだっけか?あいつの手に入れた祈りの指環を、あの娘に手に入れさせろ。なあ〜に、ちょっと家族を痛い目に合わせりゃあ、中学生なんて言うことを聞くさ。」

 中尾はそう言ってニヤリと笑った。


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