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第59話 暗躍する人々

【確定ドロップアンケート。

 1.闇魔法の魔法書(31.2%)

 2.祈りの指輪(68.8%)

 祈りの指輪が選択されました。】


 目の前が光り、羽をモチーフにしたような意匠の銀色の太めの指輪が空中に現れる。美織はそれを受け止めた。


「これ……なんでしょうか?」

 自身の配信画面でアンケートを見ていない美織には、これが何であるのか、名前すらもわからなかった。


 そもそも配信をしていないのにドロップがあること自体が、美織からすればおかしいのだ。配信でのアンケートでしか、自分はドロップアイテムを手に入れられないのだから。


 誰か自分を映して配信をしているのだろうか?そう思い至り、周囲を見回すと、誰かの物と思わしきドローンが上空に飛んでいるのを見つけた。なるほど、あれに自分が映っているから、誰かの配信でアンケートが出たのかな?と美織は思った。他人の配信でもアンケートが出て、選択されればドロップされるのかも知れない。それはアンケート妖精などという、不思議な存在を持つ自分のスキルだからこそなのかも知れないと思った。


「とりあえず、はめてみたら何かわかりますかね?」

 そう呟いて、指環をはめようとした瞬間、アンケートの妖精がひょこっと現れた。


【祈りの指環の効果をお知らせします。

 女神に祝福された、選ばれし聖女の力を使うことが可能となります。


 こちらは譲渡不可のアイテムとなり、所有者は限定され、奪おうとする者には呪いが降りかかります。


 なお、こちらは女神の祝福シリーズと呼ばれ、すべてのアイテムを揃えると、効果が3割増しになるものです。


 また、ドロップする魔物は特定ではなく、ある一定条件下のもと、稀にドロップするものとなります。


 ──というか、試しに使ってみるとかじゃなくて、私に聞いて下さいよ、マスター。】

 と眉間に皺を寄せて腕組みしながらぼやいた。美織はそれを見て目を丸くする。


「え!?あ、あなた、会話出来るんですか?はあ〜、ごめんなさい。てっきり情報を知らせるだけのものだと思ってて……。」


 最初に鳥っぽく鳴いていたが、よく考えれば人の言葉でドロップ可能なアイテムを知らせてくれていたのだ。話そうと思えば話せるのは当たり前なのかも知れなかった。


【最初に挨拶しなかったのが悪かったのでしょうか……。マスターに話しかけてもらえず、吾輩ずっと寂しかったのです。】


「ご、ごめんなさい……。最初に鳥みたいに鳴いていたから、てっきりドロップ可能なアイテムを知らせる時以外は、人間の言葉を喋らないものだと決めつけてました。これからはビビットに色々質問するようにしますね?寂しがらせちゃってごめんなさい。」


 美織がビビットの頭を撫でてやると、ビビッドが嬉しそうに美織の手にスリスリと体を擦り寄せていた。フワフワとした羽がひんやりして、とても気持ちがいい。


【それではさっそく指環を装備しましょう、マスター。つけているだけでも回復の効果がありますよ。他者を癒やすことも可能です。それにこれがあれば、アンデッドどもがいかにいようとも、エリクサーなど必要ありません。先にこれがあれば良かったですな。】


「え?この指環って、エリクサーと同じ効果なんですか?」

 美織は指環を右手の親指にはめ、それをじっと眺めつつ言った。


【いいえ、聖女の力と同じ能力が使える効果を持つものですな。リザレクトを使うことも出来ますぞ。】


「はあ〜、すごいんですね……。」

【何やら他人事のような口ぶりですな?】

「今までまともにドロップしたことがなかったので、実感がわいてないんですよね。」


【なるほど。ですが吾輩がいる限り、マスターはこれからもアンケートでたくさんのアイテムを手に入れることでしょう。こんな程度ではなくそれこそたくさんの物を。】


「それ、聞きたかったんです。なんでアンケートなんでしょうか?」

 そう美織が尋ねると、アンケートの妖精ビビットは、不思議な動きで体をぐねらせた。


【吾輩が生まれた経緯は吾輩にもわかりませぬ……。ただそうした仕組みであるとお知らせすることが出来るのみなのです。】


「そうですか……。この変なスキルの正体がわかればと思ったんですけど……。」

【へ、変なスキル!】

 ガーンと衝撃を受けた表情を浮かべ、ヨロヨロと失落していくビビット。


【変なスキルだなんてあんまりですぞ!】

「あ、ご、ごめんなさい。そうですよね、ビビットとおかげで会えたんですし。」


【マスタあぁああああ!】

 美織にそう言われて、嬉しそうに美織の胸に飛び込むビビット。

「キャッ!」


【撫でて欲しいのです、マスター!】

「ふふ、可愛いですね。これからもよろしくおねがいしますね、ビビット。」

 美織はビビットの頭を撫でてあげた。


 その頃USHCでは、美織から幾らで祈りの指環を購入するかの会議が繰り広げられており、日本の一部の政治家と、国外の数多の組織では、美織から無理やり祈りの指環を手に入れる為の手段の画策が始まっていた。


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美織から祈りの指環を奪おうとする人たち、終了のお知らせ。


アンケート結果はカクヨムとアルファポリスの合同です。


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