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第57話 vs奈落の魔物

【確定ドロップアンケート。

 1.スキル定着スクロール(5.9%)

 2.エリクサー(94.1%)

 2.エリクサーが選択されました。】


 目の前が光り、空中にエリクサーの入った瓶が現れ、それを受け止める美織。

「え?ど、ドロップ?」

 ドロップ品を手に混乱する美織。


「え?いおり、配信止めたんだよね?なんでドロップが発動してるの?」

 獄寺ちょこがそれを見て驚いている。


「わかりません、私にもなんでだか……。でもこれでメイソン・オーシャンさんを救うことが出来ます。ちょこさん!これをすぐにオーシャンさんに!治療が終わり次第、すぐに深層に逃げて下さい!」


「わ……、わかった!」

 獄寺ちょこは美織のところまで素早く移動すると、エリクサーを受け取って、メイソン・オーシャンのそばまで戻り、それをあたまからぶちまけた。


 全身びしょ濡れになってしまったが、すぐに全身のアンデッド化が引いてき、元の姿に戻るメイソン・オーシャン。何が起きたのかわからずに、呆然と手のひらを見ていた。


「早くメイソン・オーシャンさんを深層へ!ちょこさんもそこにいてください!」

「わかった!……ちょっと、何ぼーっとしてんの、邪魔よ!行くわよ!」


 獄寺ちょこはアメリカNO.1にもいつもの態度を崩さず、メイソン・オーシャンの首根っこを捕まえて、移動速度強化で深層まで逃げた。


「おお、オーシャンさん!てっきりもう駄目かと思いました……!」

 シャーロットが泣きながらメイソン・オーシャンに抱きついた。


Iori will help youいおりが助けてくれるわパパ. Dad.」

 呆然としたままだったメイソン・オーシャンは、慌ててドローンが映し出す映像の前へと移動した。


「ネクロマンサー……。奈落の魔物ですね。どこから来たのかわかりませんが、ここにいられては邪魔です。私がお相手いたします。」


 剣を構える美織に、

「オオオーン!」

 と謎の奇声を発するネクロマンサー。


 地面に倒れていた、探索部隊が倒した魔物たちが、次々にアンデッドとして復活し、美織に迫っていく。

「邪魔です──よっ!」


 美織はぐるりと回転しつつ切っ先をふるった。アンデッドは頭を攻撃すると動かなくなるとされているが、動かなくなるだけで、ネクロマンサーがいると何度でも復活させられてしまう。2度と復活させない為には、それぞれ異なる位置にある核を壊すほかないのだが、美織は的確にそれを見抜いて、ジグザグに剣を動かし、一撃でアンデッドの核を切り裂いてしまった。


 ネクロマンサーが再び死体を起こそうとしても、2度と起き上がることはなかった。

「あとはあなた1人でうすね。」

 美織は空中のネクロマンサーを見上げた。


「──アンデッドの核をすべて一発で見抜くとは……。彼女はいったいどんなスキルを持っているんだ!?」


「いえ、情報によると、<アンケート>という、ドロップに関するスキルのみだそうです。心眼のような、触れずに見抜く力などは持ち合わせておりません。」


 USHC東京支社では、一撃で集まってきたアンデッドすべてを葬ってしまった美織に困惑していた。核の位置を見抜くには、特別なスキルがなくてはならない。


 それがこの世界の常識であり、核に当たるまで何度も攻撃しなくてはならないことも多い。特にスライムやアンデッドなどの、核が移動するとされるタイプの魔物ほど、見極めるのは困難だ。


 それを1度や2度のみならず、すべてのアンデッドの核の位置を一瞬で見抜く力。これだけでも世界規模で欲しがる国が多数存在する能力といえた。


 ネクロマンサーは手下を失い、尖った氷の塊を放ってきた。ネクロマンサーは死体を操るだけでなく、闇魔法と水魔法を使うことが出来る。だからこそ厄介なのだ。


 美織は剣で飛んで来た氷塊を撃ち落とすと、1度軽くしゃがんで勢いよくジャンプし、ネクロマンサーの高さまで飛び上がった。


 そして、あろうことか、ネクロマンサーをガッチリ抱きしめた。いわゆるだいしゅきほーるど状態である。


「彼女は何をしているんだ!?」

「ネクロマンサーに直接触れるなど!」

 映像を見ていたUSHC東京支社の面々も、深層に逃げていた探索部隊も、それを見て悲鳴のような声を上げた。


「……ネクロマンサー。あなたは自分の近くにいる者に攻撃をすることが出来ない。だから遠距離魔法を使う。死者を操って自分から遠ざける。自分に近付けない為に。。そしてあなたの核は──ここ!!」


 美織は下半身でネクロマンサーをガッチリとホールドしたまま、両手で剣を振り上げてネクロマンサーの胸に突き刺した。


「オオオーン!!」

 ネクロマンサーの悲鳴が聞こえる。ネクロマンサーの体が崩れていき、USHCの配信画面には、誰も内容を打ち込んでいないにも関わらず、


【確定ドロップアンケート。

 1.闇魔法の魔法書(0.32%)

 2.祈りの指輪(0.03%)】


 と書かれたアンケートが、配信画面に表示されていたのだった。


:祈りの指輪?

:なんだそれ、聞いたこともないぞ……

:闇魔法の魔法書は、魔法が使えるようになるやつだよな

I just selected itさっき選んだら出てきたよな and it came out.

Can I get it if I anアンケートに答えたら貰えるのかswer the survey?

:闇魔法は貴重だぞ!聖魔法についで使える人間が少ないからな

:効果のわからない指輪にすべきか、効果のわかってる魔法書にすべきか、悩むな……


 美織の配信に慣れているリスナー以外も、アンケートで選ばれたものが1度出て来たことで、この仕組みを理解したようだった。


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遅くなりました。本日分です。

アンケートの数値はアルファポリスとカクヨムの合同結果です。


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