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第56話

「──え?なんでこんな、家の近くのダンジョンに来たの?」

 獄寺ちょこは、急遽配信を切って銀座ダンジョンに向かうことになり、急いでいる筈の美織が、近所のダンジョンに潜り始めた為、ついてきたものの困惑を隠せなかった。


「急いでいるからですよ?」

 ずんずんと奥に進んでいく美織の後をついて歩きながら、獄寺ちょこは首をかしげる。

「え?どゆこと?」


「──ダンジョンっていうのは、どこかでつながっていることも多いものなんです。銀座ダンジョンの深淵と、奈落がつながったのもその為です。他のダンジョンの奈落と、銀座ダンジョンの深淵がつながったんですよ。そこから魔物が入ってきたんです。」


「ここのダンジョンも、銀座ダンジョンとつながってるってこと?」

「そういうことになりますね。もちろん、常時つながってるわけじゃありませんよ?時折そういうことがあるってことですね。」


「初めて知ったわよ、そんな事実……。」

「ショートカットするのには便利ですけど、イレギュラー発生の原因にもなるので、あまり歓迎出来ないかも知れないですねえ。」


「イレギュラーの原因ってそれなの!?」

「そうですよ?一時的につながったダンジョンから、魔物が流入してきているんです。そうじゃなきゃ、彼らはどこから来たんですか?」


「そ、そう言われると納得かも……。」

「──ここですね。」

 美織は下層に降りると、足の裏で確かめるように、スリスリと地面を撫でている。


「なにやってんの?」

「つながる箇所を探しているんですよ。

 ──ありました!ちょこさん、捕まって下さい!強制転送魔法陣です!」」


「えっ?うえっ!?」

 美織の足元に魔法陣が現れ、下から上に黄緑色の光がのびる。獄寺ちょこは美織の腰にギュッとしがみついて目を閉じた。


「ここを魔物が踏むから、強制的に別のダンジョンに転送されて来てたってこと?」

「そうなりますね!」


 強制転送魔法陣が、美織と獄寺ちょこを銀座ダンジョンの深淵へと飛ばす。銀座ダンジョンの深淵の空中に現れた、美織とちょこ。それに気付いて驚くメイソン・オーシャン。


「ちょこさん!メイソン・オーシャンさんをお願いします!」

「りょーかい!」


 獄寺ちょこが隠密で姿を消し、移動速度強化でメイソン・オーシャンをアンデッドアースドラゴンから遠ざける。


「メイソン・オーシャンさんはアンデッド化の真っ最中です!距離を取ったら、ちょこさんもメイソン・オーシャンさんから離れてください!危険ですので!」


「わ、わかった!」

 獄寺ちょこはすぐにメイソン・オーシャンから離れると、隠密で姿を消したまま、様子を伺った。


 メイソン・オーシャンのアンデッド化は、既に全身へと広がり、かじろうて首から上が残っている程度だ。上位探索者としての強い意思と力が、完全にアンデッド化することを拒んでいるのだろう。


「たりゃああああああああ!」

 上空から落下しつつ、剣を振り下ろす美織。その切っ先は一撃でアンデッドアースドラゴンの核を切り裂いた。


 ネクロマンサーがアンデッドアースドラゴンに手をかざし、再び起き上がらせようとしたが、核を失った体はドロリと崩れて、2度と形を取ることを許さなかった。


「──アンデッド化した魔物はリミッターが外れて、本来の2倍から3倍の力を出すと言う。そのアンデッドアースドラゴンを一撃で……!?あれは一体誰だ?」


「あれが会社が目をかけている、剣呑寺いおりさんです。」

「あれが……剣呑寺いおり……。」


 深層でドローン越しに様子を伺っていたサポート部隊は、散々メイソン・オーシャンを苦しめてきたアンデッドアースドラゴンが一撃で葬られる様を呆然と見つめていた。


「な、なんだこれは!?」

「アンケート……?」

「誰だこんなものを打ち込んだのは。」

「いや、誰も触っていないぞ!?」


 その頃、USHCの外部配信の画面には、誰も内容を打ち込んでいないにも関わらず、


【確定ドロップアンケート。

 1.スキル定着スクロール(0.05%)

 2.エリクサー(1.3%)】


 と書かれたアンケートが、配信画面に表示されていたのだった。


:これ、まさかいおりんのスキル、<アンケート>のやつか?

:他人の配信にも出るもんなのか!?

:いおりんを……映してるから、とか?

:俺たちに、救えってことじゃね?

:メイソン・オーシャンをか?

:それか、いおりんをパワーアップさせて、ネクロマンサーを倒す手助けを出来るってことか?

:いくらいおりんと言えども、奈落の魔物にこのままで勝てるとは思えないな……

:メイソン・オーシャンの命か、いおりんのパワーアップか、俺たちが選ばないといけないのか!?


 日頃美織の配信を見ているリスナーたちだけがそれに気が付いた。突然の究極の選択に混乱しつつも、アンケートのボタンを選択しないという考えは誰1人としてなかった。


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この作品は読者参加型です。

久々のアンケートです!さあ皆さま、どちらを選びますか?


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