アースドラゴンの周囲に展開されている砂嵐の回転速度が増していく。もうそろそろ砂嵐が解除されるだろう。そうなったら、一斉に攻撃を叩き込む手筈だ。
「
「
メイソン・オーシャンとアルフォンス・デバッガーがアースドラゴンの背に飛び乗り、一斉に攻撃を開始する。
アルフォンス・デバッガーの武器は巨大な戦斧だ。これは斬りつけるのではなく、叩き切るための武器だ。彼らのように大型の敵と戦う際に重宝するのである。
アルフォンスは巨大な戦斧を振り下ろし、アースドラゴンの翼を攻撃。メイソンは双剣でアースドラゴンの首を何度も切りつける。
アースドラゴンが暴れ、振り落とされそうになるが、二人は武器をアースドラゴンの体に突き立てて、何とかしがみついていた。
「グガアア!」
アースドラゴンは二人を振り落とそうと暴れ回る。アルフォンスは戦斧に魔力を込めて、アースドラゴンの翼を斬りつけた。すると翼が破れて血が吹き出した。
「
メイソンがそう言って、飛び上がりながらアースドラゴンの顔を連続で斬りつける。
アルフォンスはアースドラゴンの体に攻撃を叩き込んでいく。アースドラゴンはその巨体をくねらせて、彼らを振り落とそうとするが、そこにアルフォンス・デバッガーが片方の翼を切り落とした!叫び声を上げて空中でもがき回るアースドラゴン。
弓使い部隊と魔法使い部隊が次々に層の薄くなった砂嵐を越えて、アースドラゴンに攻撃を加える。そしてついに砂嵐が解除され、アースドラゴンは地上に叩きつけられた。
「俺も負けていられないな!」
格闘家の
そして弓使い部隊と魔法使い部隊は、地上に落ちたアースドラゴンに向けて、次々と矢を放ったり、魔法を放っていく。
アースドラゴンはヨロヨロと起き上がり、最早満身創痍に見えた。そこに、全身を回転させながら、メイソン・オーシャンがアースドラゴンの首を切り落とした!
アースドラゴンの切り落とされた首は、勢い余って空に舞い上がる。そして地面に激突し、その衝撃によってグシャリと潰れた。
アースドラゴンはそのまま倒れ、首の切断面から夥しい量の血と体液を吐き出した。
「
アルフォンス・デバッガーがフラフラしながらメイソン・オーシャンに近付いた。アースドラゴンからは何もドロップしていない。
「──
メイソン・オーシャンがそう言った直後、アースドラゴンの胴体が動き出し、再び立ち上がった!そして威嚇するように戦闘態勢を取り、探索部隊のほうを向いた。
「な、なんだと!」
「そんなバカな……!」
アースドラゴンの胴体は砂嵐を出さず、その周囲に毒霧が集まってくる。
そしてその白いモヤが、段々と黒く変色していったかと思うと、アースドラゴンの体が突然、──ドロリと溶けた。
「──!?」
そして、アースドラゴンの頭上に、フヨフヨと漂う、逆立つ白髪に黒いローブ姿の骸骨の姿。たくさんの金色の腕輪やペンダントなどの装飾品を身につけていた。
「ネ……ネクロマンサーだと!?」
「ふざけるな!ネクロマンサーは奈落でしか確認されたことがない筈だ!!」
ネクロマンサーが手にしていた杖を掲げると、毒霧が杖の先端に集まり、やがて霧が晴れていく。すると天井に逆さまに海面が存在する、特殊なエリアであることがわかった。
奈落。深淵より先の人類を超えた者にしか到達出来ないとされる場所。そこは常識では通用しない構造になっていて、ひと目で特殊な場所に来てしまったと、わかる見た目になっているとされている。空に逆さまに靡く海面が、ここがそうであることを告げていた。
「
「
メイソン・オーシャンとアルフォンス・デバッガーが、驚愕の眼差しでそれを眺めた。
「──緊急事態だ!奈落と深淵がつながっている!この人数とメンバーでは奈落は到底無理だ!総員、退避!!」
USHC日本支社の幹部待機部屋から、深層のサポート部隊に退避命令が出された。
それを受けた深層のサポート部隊がひとつ下の階層の入口に走って行き、
「退避命令が出ました!皆さん、逃げて下さい!ここは危険です!」
と叫んだ。──だが。
「
その時には既に、メイソン・オーシャンの右腕が、アンデッド化したアースドラゴンの口の中で、無惨にも噛み砕かれていた。
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