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第18話 コメント欄で荒れる先輩たち

「そういえば、いおりん、タイラントクラブの堅鋏、解体したから身肉がない状態のものが準備出来てるけど、これはどうするの?」


「普通に売りに出そうと思ってます。私、双剣は使わないので、素材が必要ないですし。」

「それなら、うちのギルドに売ってくれないかな?欲しがってる先輩いたんだよね。」


「いいですよ?他のギルドを通じて売ろうかと思ってましたから、ルカルカさんのところに直接売っても。」


「ありがと~!売りに出されたのを後から買うと、その分お高くなるからねえ。」

「あ~そうなんですねえ。」

 美織はニコニコとそう言った。


 自分の手元に残るお金に変化はないので、直接売ろうが他を通じて売ろうが、その後のことに感知はしておらず興味がなかった。


「そういえば、次の配信はどうするの?」

「そうですねえ、実際2回の食べ食べ配信でかなり伸びましたし、そちらの方向性を追求してみてもいいかなと思ってます。」


「確かに!いおりんの食べ配信、2回とも貴重なものばっかだったもんね!とすると、次に狙うのは何?」


「そうですねえ……。仙桃でもどうかなって思ってます。針の山の頂上に生えてて、上空にスカイフィッシュが飛んでるから、絵的にも面白いかな~って。」


 ニコニコする美織に、

「せ、仙桃の生えてる針の山って……。狭山ダンジョンの深層のこと言ってる!?」


「はい、そうですね。」

「はいそうですねじゃないよ、いおりん!まさか深層にもソロで挑むつもり!?」


「はい、普段から潜ってますし。」

 と美織はあっさりと言った。

「は!?本気であんた一人で行くつもり!?は~仕方ないわね、ついてってあげるわ!」


 とドヤ顔で獄寺ちょこが言う。

「ついて来てくださるんですか?獄寺さん。お友だちと一緒なんて嬉しいです!」

 美織は獄寺ちょこの手を握る。


 ポッと頬を染めた獄寺ちょこは、

「ま、まあ!?あんた一人じゃ心配だし?深層ならあたしも潜ったことあるしね!」


 と言いつつも獄寺ちょこの場合は、他の配信者の邪魔をしに行っただけの話なので、深層の魔物と戦ったことがあるわけではない。


 深層の魔物から逃げおおせることが、スキルの関係上可能というだけだ。だから大手ギルドや大物配信者相手でも、深層まで追いかけて迷惑配信をすることが出来たのだ。


鳩胸みかり:仙桃!?ちょ、食べたい!

似鳥ゆえ:よこせください

アーリー・ダブクロス:ひとつ食べたら強靭な美肌を手に入れるというあの……!

満天星きらり:オフコラボ希望!オフコラボ希望!

灰崎イチカ:お金なら払うから!

瀬戸内ミリー:あたしミリーさん。今あなたの後ろにいるの


「ちょ、先輩方!?」

 ルカルカがコメント欄に流れる名前を見て驚愕している。


「お知り合いですか?」

「うちのギルドの先輩たちだよ……。」

「ああ……。」


「仙桃ってね、みんなに説明するとね、食べると美肌が約束されるっていう、女子垂涎の食べ物なのね。それ自体は普通に木になってるものなんだけど、生えているところが魔物に守られた深層にあるから、普通の探索者には近づけないの。しかも仙桃をメインに取ってくる人なんて少ないから、結果として希少素材になってるんだよね。」


「依頼でもあれば別だろうけどね。マジックバッグに余裕があったら、深層の魔物の素材を入れたいから、仙桃を持って帰って来る探索者が少ないってわけ。」


 ルカルカの言葉を獄寺ちょこが補足する。

「でも私も手に入るなら欲しい~!美肌になるだけじゃなく、肌が強靭になるから、防御力が上がるって言われてるんだよね!」


:なるほど、探索者としてもおにゃのことしても、欲しい食材なわけだ

:これはルカルカにもごちそうしないとな


 そこに、コンコン、というドアをノックする音が聞こえる。配信中に誰?とルカルカが立ち上がりドアを開けると、ギルドの先輩瀬戸内ミリーがスマホを片手に立っていた。


「ちょ……!瀬戸内先輩ほんとにいたし!」

「後ろにいるって言った。」

 片目が髪の毛で隠れた髪型にジト目の美少女、本名平橋沙希ひらはしさきがニヤ~ッとする。


「仙桃……欲しい……。タイラントクラブも食べたい……。」

「も~!いるなら事前に言って下さいよ!」

「配信してるのさっき知った……。」


「そうは言っても先輩のガワありませんよ?配信で食べるの不可能ですって。それにもう配信終わりますし……。」


「残りでいい……ちょっと欲しい……。」

「まだ残ってますから、良かったらどうぞ!配信終わりでしたら食べられますよね?」

 美織がニコニコとそう言う。


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