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第9話 リアル妹と飯テロ食べ食べ配信

「こんいお~!」

「こんいおー。」

 美織の横で、剣呑寺いおりのロリガワをかぶった妹、高坂依音こうさかいおんが両手を振っている。


「始まりました、リアル妹召喚の、ギガントミノタウロスのシャトーブリアン食べ食べ配信!……って、この速度、なに!?」


:待ってたぞ~

:これが剣呑寺いおりロリバージョン?

:あのイレギュラー一撃マジだったんだな!

:妹ちゃん、見ってるー?

:主、今SNSやべーことなってんぞ

:多分これ気付いてないな

:一・撃・斬!!

:シャトーブリアン楽しみ

:どうやって食べるのかな?

:リアルょうじょprpr

:主がロリガワで喋ってるところも俄然見たくなってきた


 凄まじい勢いでコメントが流れてくる。ルカルカに誘導してもらった時の比ではない。


 開始3分にして既に同接10万人を記録していた。配信が重たすぎて画面がカクカクと動き、まるで同じコメントが繰り返し表示されているかのように見えて、コメントを拾うことすら一苦労だった。


:この間のイレギュラー一撃が、あまりに一瞬過ぎてみんな信じてなかったのが、ギガントミノタウロス瞬殺で、にわかに事実だと認識されて拡散されたんだよ

:なおホットワード、剣呑寺いおり、女子高生ダンVtuber、一撃斬、イレギュラーを瞬殺、の模様


「えええ……、ちょ、ちょっと携帯見てみますね!少し待っててください!」

 今日はPCからの配信だったので、手元にスマホを取り出して、SNSを確認する。


「ほ、ほんとだ……。」

 ポストの殆どが自分で埋め尽くされている画面。こんな状況は想定外だ。


:おめでとなーいおりん

:コメント拾えそう?

:俺実は古参なんだぜ

:投げ銭出来るようになるまですぐだな!

:それな、札束で殴りたい

:シャトーブリアンどうやって食べんの?


「え、えっとですね、シャトーブリアンは実は昨日の時点で、お母さん直伝の、お肉を更に柔らかくするものに浸けてあります!それをこれから配信中に焼いていく予定です!お肉の焼ける音だけでもお裾分けです!」


:飯テロおおおおおおおおおお

:それお裾分けって言わんのよ

:お母さん何してる人?今日はいないの?


「母は看護師をしていて夜勤なので、今日はいないですね。でも、母の分もちゃんとありますよ!おっきなお肉でしたからね!当分お肉には困りません!」


 剣呑寺いおりに看護師の母親など設定していないのだが、うっかり中の人事情をまた話してしまう美織なのだった。


「おねえちゃんお肉~。」

 依音が美織の服の裾を引っ張った。

「待っててね、みんなに説明したら、すぐに焼くからね!そしたら食べよう!」


:リアルょうじょきたコレ

:prprprprprprpr

:こ、これがょうじょの破壊力か……!

:いっぱい食べるんだよ~


 依音が一言発しただけで、盛り上がるコメント欄。アンケートでもそうだったけど、みんな子どもが大好きなのかなあ、と美織はのんびりしたことを考えていた。


 依音の顔出しは母親から許可されていない為、剣呑寺いおりのロリガワがなかったら、目元にマスクでもさせて3次元配信になるところだったので、あの時親友のすすめとはいえ、剣呑寺いおりの別バージョンを作っておいて正解だったな、と思った。


「それではさっそく調理していきます!」


:料理出来るのか?

:一抹の不安

:焦がすなよ~

:人の食べられるものが出来ますように


「失礼ですね!私、普段お母さんが夜勤で家にいないことが多いから、私が妹の朝ご飯を作る係なんですよ!ある程度のものは作れますので安心してくださいね!」


:けなげや~

:搾取子とも言う

:それじゃ妹ちゃんは普段家に1人か?


「いえ、普段はおばあちゃんの家で預かってもらってますね。私もダンジョン配信があるので、妹の時間に合わせてられなくて……。

 おばあちゃんが夜ご飯を作って、お風呂に入れて、朝家に連れて来てくれます。学校の支度があるので。朝ごはんをそこで、私と一緒に家で食べて学校に行かせてますね。」


:それじゃ妹ちゃん寂しいな

:お母さんもおねえちゃんもいないのか……


「だから早く、お母さんが夜勤をしなくてもいいように稼ぎたいんですよね。それでダンジョン配信です。うちの学校アルバイトは禁止ですけど、ダンジョンはOKなので。」


:そういう学校増えたな

:国が高校生探索者を増やそうとしてるしな


「おねえちゃん、お肉~。」

「あっ。そうだね!そろそろ焼こうか!あとは調理しながら話しますね!テーブルにパソコンとホットプレートを用意しています!」


 美織はさっそく、浸けておいた肉をタッパーから取り出すと、熱々に熱されたホットプレートの上にトングで置いた。肉の焼ける香ばしそうな音だけが配信に流れてゆく。


 それを聞いたリスナーたちは、


:音の暴力や!!

:飯テロおおおおおおおおお!

:うまそう!うまそう!やばい!


 と、コメント欄で絶叫するのだった。


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