「ランチェスター公といろいろお話があるようですので、お迎えにいらしていただいたほうがよろしいかと存じます。
そのまま警備兵と共に、馬車でご自宅までおくらせていただきますので。」
「分かりました。」
それも多分、王族の家紋入りの派手な馬車なんだろうなあ……。
「それでは我々はそろそろ失礼させていただこうか、ジョージ。コボルトの店の土地建物の売買の問題もあることだし。」
「そうですね。色々とありがとうございました。すべて済みましたら、またこちらに向かわせていただきますが、その際はまた表からがよろしいのでしょうか?」
「出立の際は表からになりますが、お通しするのに時間がかかりますので、裏からお入り下さい。話は通しておきますので。」
ジョスラン侍従長がそう言って、俺とエドモンドさんは、いったん王宮を出ることにした。そのままエドモンドさんの馬車でルピラス商会の倉庫に向かう。
「よし、キッチンペーパータオルを出してくれ。今回は20万個で頼む。」
「20万ですか!?」
「他の国からの引き合いが凄くてな。
これでも入る分だけだぞ?恐らくまたすぐに補充してもらうことになるだろう。」
大人気だな、キッチンペーパータオル。
まあ、便利ではあるが……。
俺なら1セット2千円もするものを使う気はしないが。価値観が違うのかな?
「それと折りたたみ式の輸送コンテナを5000個頼む。」
「分かりました。」
俺は1つ目の倉庫にキッチンペーパータオルを、2つ目の倉庫に折りたたみ式輸送コンテナを出した。今回はさすがに面倒すぎたので、鍵をかけて中に入ってこられないようにして貰い、一瞬ですべての数を出した。
「あと薬用せっけんも5000個頼む。」
「前回500個だったのに、そんなに売れますかね?」
「王宮分とこの国の分だけで500だぞ?
おまけに消耗品だ。他の国からの引き合いも多いからな、すぐにさばけるさ。」
なるほど。
「それと、化粧品の見本だな。」
「分かりました。」
俺は基本のメイク道具を一通り出した。口紅は12色もあればいいか。
「……こんなに色々あるのか?」
「女性は大変なんですよ。」
「これを全部使うのか……。」
エドモンドさんは驚いている。これでも種類をおさえたほうなんだが、円璃花がこの世界の化粧品は種類がないと言っていたし、珍しいのかもな。
「これはなんだ?」
「コンシーラーといって、シミを隠すものですね。」
「これは?」
「パウダータイプと、クリームタイプのファンデーションです。パウダータイプは油分が多いの方向けですね。
パウダータイプは皮脂が多い人ほどきれいに肌にのりますので。メイク直しだけならこちらのほうがオススメです。」
ファンデーションは他にもリキッドタイプと、ルースタイプと、スティックタイプとがあるが、リキッドより油分の多いクリームファンデは肌色補正と油浮きを抑えるのと、初心者が使いやすいからな。パウダーはこちらの世界にもあるから、馴染みやすいだろう。
「これはチークと、マスカラと……。これはなんだ?」
「アイシャドウですね、目に塗るパウダーです。」
「これは?」
「アイライナーです。まつげの間を埋めるものですね。目元がはっきりしますよ。」
「……これは?」
「眉カットのハサミと、コームと、アイブロウペンシルです。眉毛の形を整えるものですね。まあ、アイブロウペンシルは金髪の方用はないんですが。」
「……。俺は正直気軽に考えていたかも知れない、化粧品というものを……。」
エドモンドさんが途中から、一つ一つ手帳に形と名前をメモしだした。
まあ、普通は一発で覚えられないよなあ。
「……確かにこれは、全部の商品を一度に出して貰っていたら、管理するのが難しいな、見本を見せて必要な方に、注文制で売ったほうが良さそうだ。」
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