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第34話 八宝菜丼とチョミックル(サワガニもどき)の素揚げ③

「さて、俺も準備するか。」

 俺は商人ギルドへと向かうことにした。

 商人ギルドにつくと、前回申請したキッチンペーパーの登録が終わっていて、販売を担当する商団を紹介するので、品物をおろしてほしいと頼まれた。


 かなり手広くやっている、有名なところらしく、店を持ちたいと話すと、商団に相談してみたほうがいいのではないかと言われた。

「実際に町に詳しいのは、商団の皆様のほうですので。」

 なるほど。


「副長さんがちょうどいらしてますから、ご紹介いたしますね。」

 商人ギルドの受付嬢が、奥で人と話していた、もみあげから髭のはえたたくましい男性を連れてくる。

「こちらエドモンドさんです。

 ルピラス商会の副長さんです。

 こちらの方がジョージさんです。」


「ジョージ・エイトです。

 良かったんですか?お話のほうは……。」

「エドモンド・ルーファスだ。

 ちょうど終わったところだから構わない。

 見本を見せて貰ったが、あれはとても素晴らしいものだった。

 きっとこの国どころか、他の国にも広まるだろう。君はあれをどこで?」


「まあ……、それは商売上の秘密ということで……。」

「まあ、それはそうだよな。

 こちらは商品の質さえよければ問題ない。

 取引に感謝する。」

 エドモンドさんが快活に笑いながら握手を求めて来た。


 俺はエドモンドさんと握手をかわす。

「こちらこそ、よろしくおねがいします。

 それで、先程受付嬢の方から伺ったのですが、俺は店を出したいと考えていまして、それなら商団の方に相談したほうがよいとのことで……。なんでも町にお詳しいとか。」


「まあそうだな、俺たちはあちこちの店に顔がきくし、客層なんかも把握している。

 どうだ、どこかの店でゆっくり話をしないか?」

「それが、実は先ほど昼を食べてきたばかりでして……。」


「ああ、それならキャフェに行こう。

 今度ジョージの商品をおろす予定の店さ。

 なかなかいいコーヒーを出すんだ。」

 キャフェ?カフェのことか?コーヒーを出すというし。どこかの国の発音だと、カフェがキャフェだったよな、確か。


 エドモンドさんが連れて来てくれたのは、やはりカフェだった。コーヒーを2つ注文すると、飲み慣れたコーヒーが出てくる。

 名前は違うけどマヨネーズがあったり、小麦粉はそのまま小麦粉だったり、全然違う食材もあったりで、不思議な世界だな。


「おいしいです。」

「それは良かった、ところで、どこにどんな店を出したいと思ってるんだ?」

「若返りの効果のあるお茶と、絵柄が美麗な食器と、精霊魔法のかかった魔宝石があるので、貴族の住む地域に出したいと思っているのですが……。」


「なんだって!?

 それは本当か?ジョージ。

 それは確かに貴族にうけるだろう。

 君は本当に凄いな。」

「ですが土地を買うにしても、借りるにしても、色々と問題があるようで……。」


「まあ、そこは確かにそうだな。

 買ったほうが俺は良いと思うが、貴族の保証のあてはあるのか?」

「王宮勤めの友人がおりまして、あたって貰おうかと思っているのですが……。

 既に何か動いてくれているようです。」


「ふむ。なら、先に店の場所を探したほうがいいな、そこを誰が持っているかで話が変わってくる。」

「ですが、友人から、俺の売りたいものが原因で、貴族の住む場所は難しいと思うと言われてしまいまして……。」


「なぜだ?商品はどれも、貴族の気をひくものばかりだ。

 貴族の護衛は精霊魔法を使えない。

 精霊魔法の使える魔宝石なんて、いくらでも買うだろうに。

 若返りのお茶だってそうだ。

 美しい食器も興味を示すだろう。」


「俺の出したい店は、料理も出すつもりなのですが、それがコボルトの料理なのです。

 お茶も、食器も、精霊魔法の使える魔宝石も、すべてコボルトたちが作っています。」

「コボルトだって!?」

 突然エドモンドさんが眉間にシワを寄せ、目を見開いて俺を見た。


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