「照明の魔宝石が早速役に立つな。
ランタンじゃ足元が心もとないが、半径10メートルというのはかなり強力だ。
魔法雑貨屋に立ち寄っておいて正解だったぜ。」
アスターさんの言葉にみんながうなずく。
アスターさんを先頭に、マジオさん、アシュリーさん、俺、インダーさん、しんがりがザキさんの順で洞穴を進んでいく。
2人並べなくもないが、ちょっと余裕がないからだ。
アスターさんの持った照明の魔法石は、一番後ろのザキさんの足元までしっかり照らしてくれているらしい。
この距離なら、魔物が来てもすぐに気付けるし、かなり便利だな、魔宝石。
いや、精霊魔法が便利なのか。
魔法というのは、使えるMP総量に限界があるものの、次の日になると回復するので、魔法を使わない日は、魔宝石に力を込めるのが、魔法使いの内職らしい。
冒険者をせずに、魔宝石作成専門に仕事をしている魔法使いもいるのだという。
みんながみんな、魔物と戦いたいわけではないだろうから、そういう選択肢があるのはありがたいだろうな。
おかげで俺のような、魔法を使えない人間にも、魔法の恩恵に預かれるわけだし。
「おっ!?」
「こりゃあ……。」
しばらく進むと、広い道に出た。
だが。
「3つに分かれてやがるな……。
どうする?」
「目印をつけて、順番にすすみましょう。
どちらから行く?」
「うーん、そうだな。左のやつ!」
そう言ったアスターさん、アシュリーさん、インダーさんが手をあげる。
「真ん中がいいやつ!」
俺が手をあげる。
「右がいいやつ!」
マジオさん、ザキさんが手をあげる。
「多数決で左だな。よし、行こう。」
アスターさんが左の洞穴の壁に傷をつけ、俺たちは奥へと進んだ。
奥へ、奥へと進むと、突如として、鍾乳洞のような壁から、同じ石造りでも、レンガのように重ねられた部屋が現れる。
そして、その部屋の奥に置かれた、複数のとあるもの。
「宝箱……?
つまりここはダンジョンというわけか。」
「ダンジョンが急に発生するだなんて、相当強い魔物が、中にいる可能性もあるね。」
ザキさんとマジオさんが、宝箱を眺めながら冷や汗を流している。
ダンジョンは特別な場所なのか。
「これが一部当たりで他が魔物か、全部が魔物の可能性もあるな。」
「魔物?」
インダーさんの言葉に俺が首をかしげる。
「ミミックっていう、擬態する魔物さ。宝箱に偽装してることが多いんだ。
その場合、蓋が歯になっていて噛みちぎってくる。罠解除の魔法を使うと、本性をあらわすんだけど。」
インダーさんが説明してくれる。
「アシュリー、宝箱の罠解除の精霊魔法は使えるか?」
アスターさんがアシュリーさんに尋ねる。
「ええ。さっきの店にもおろしてたんだけど、売り切れだったみたいね。」
「本当かい?今度作って取りおいてくれ。買いにくるよ。」
インダーさんがアシュリーさんに言う。かなり貴重なんだな、罠解除の精霊魔法。わざわざ予約するなんて。
というか、魔法使いのインダーさんが頼むということは、精霊魔法にしかないのか、罠解除。
「リムーブトラップ!」
目の前には5つの宝箱が並んでいる。アシュリーさんが、左から順番に、罠解除の精霊魔法を使った。
まず1つ目は普通の宝箱だった。蓋を開けると、中には金の財宝がたんまり。みんなが思わず、おお、と声を漏らす。
2つ目の宝箱も普通の宝箱だった。
中には防具のようなもの。アスターさんとザキさんが、よだれを垂らしそうな表情を浮かべている。
何かいいやつだったのだろうか。
問題は3つ目だった。
「ミミックだ!」
「くるぞ!」
宝箱だったそれは、口を大きく開き、巨大な舌が口からのぞいている。
ピョンピョンと、不規則な動きではねながら、こちらに襲いかかってくる。
「ディクリース・ウエイト!」
アシュリーさんが、アスターさんの大剣に魔法をかける。
「おお、重量低下の魔法か!ありがたい!」
マジオさんのデバフ付与の矢がミミックに直撃する。
「ファイヤーボール!」
アシュリーさんを狙ったミミックに、インダーさんの火魔法が当たり、ギエエエエ!とミミックが鳴く。
跳ね回っていたミミックが地面に転がり、
「いまだ!」
アスターさんが軽々と大剣を振り上げ、一刀両断、ミミックはふわっとその姿を消し、その場に魔石と瓶をドロップした。
「ポーションだな。やれやれ、肝が冷えたぜ。気を抜かずにいこう。」
ザキさんがドロップアイテムを拾って鞄にしまった。
4つ目は杖のようだった。今度はインダーさんがよだれを垂らしそうな表情を浮かべている。いいやつなんだろうな。
5つ目は片手剣と盾だった。ザキさんの武器だ。ザキさん、よだれよだれ。
「ザキ……、防具、俺が貰ってもいいか?」
「もちろん……。じゃあ、俺はこの武器と盾を……。」
「つ、杖、貰ってもいいよな?」
「財宝は、マジオとアシュリーさんとジョージで分けて貰うってことでいいか?」
アスターさんの言葉に、マジオさんとアシュリーさんがうなずく。俺は別にいらないと言ったが、3等分されて押し付けられた。まあいいか。