目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第19話 ネギ塩ルルクス(トマト)ムルソー(こごみ)のお浸し、チーク茸(エリンギ)とオーク肉(豚肉)のオイスターソース①

 今日は朝からワイバーン狩りだ。

 空をとび、群れをなしているというから、今までのようにはいかないだろう。

 前回だって檻を壊すほどの力があり、魔法を放たれて苦戦したのだ。


 木ですら簡単に倒すとなると、何か防壁になるものが必要だ。

 俺は周囲を散策し、森の中にそうしたものがないかを探した。だが洞窟などもなければ、巨大な石のようなものもない。

 森というよりも林という感じだった。


 まいったな……。

 警察や軍隊が使うライオットシールドは知っているが、ポリカーボネート製で、凄く重たい上に銃相手に殆ど効果を持たない。

 ライオットは暴動という意味で、鈍器や投石程度から防ぐ為のものなのだ。木を切り倒す魔法に意味があるとは思えない。


 銃弾を防げるタイプもあるが、それに見合った重さで、素早く動く相手に攻撃を同時にするには向いていない。

 拳銃に対抗出来るバリスティックシールドなんてのもあるが、大口径弾や、一箇所に集中的に銃撃されれば普通に穴が開く。


 ワイバーンの魔法の威力を目の当たりにしている俺としては、心もとなく感じてしまう。

 この世界の盾ならどうだろうか?普通に狩られているようだし、魔法に耐える盾なんてのもありそうだよな。


 俺はそれをイメージして、全身を覆えそうな盾を出してみた。すると見たことのない金属で出来た盾が出てくる。

 少なくとも鉄でもオリハルコンでもないようだ。魔法防御を付与出来るとなると、魔法と相性がいいと聞いていたミスリルだろうか?


 持ち上げてみたが驚く程に軽い。なのに叩いてみると硬さを感じさせる音がする。

 こいつはいいな!

 剣士が使うようなものではないだろう。

 盾職がいるというからそれ用だろうか。

 のぞき穴がないのは残念だが仕方がない。


 俺は掴みかかられないよう、木と木の間に盾を構えて、慎重に待った。

 ワイバーンは村の牧場に向かう際に、必ずこのルートを通ると言われている。

 そこを狙い撃ちする為だ。


 程なくしてワイバーンが鶴翼の陣形で飛んで来る。鳥が群れをなして飛ぶ時のあれだ。

 この状態で1度に貫けるのはせいぜい2体まで。あとはこちらめがけて襲ってくるだろう。俺はワイバーンが重なる瞬間を狙ってオリハルコン弾を放った。


 飛ぶスピードを早めた1体が偶然巻き込まれて、3体のワイバーンが脳天を貫かれて地面に真っ逆さまに落ちてゆく。

 それを見た他のワイバーンたちが一斉にこちらを向いた。俺は生唾を飲み込む。


 滑空してくるワイバーンに狙いを定めて次々撃ち落とすが、早い!早すぎる!

 4体撃ち落としたところでワイバーンが木の間から狙う俺を足で掴もうとして来る。

 木に阻まれたが少し盾を引っ掻いた。


 盾はびくともせず、表面にうっすらとした傷もなかった。通常攻撃は防げそうだ。だが問題は魔法攻撃だ。

 俺に掴みかかったワイバーンを撃ち落とすと、残ったワイバーンが次々と風魔法を放ち、あっという間に木が切り倒され、俺はそれに巻き込まれないよう後ろに下がった。


 丸見えになった俺に風魔法が飛んで来る。俺は身を縮めて盾の後ろに隠れた。

 何かを弾くような音がしたが、盾は壊れてはいなかった。──いける!

 風魔法は空気を切り裂くような音がするので、放った瞬間が分かる。俺は音のしない時に盾から顔を出してワイバーンを狙った。


 ギャッギャッと鳴きながら俺に攻撃を仕掛けるも、次々にワイバーンはオリハルコン弾の餌食となった。

 しめて25体。これだけの数に一気に襲われたらひとたまりもなかったろうな。

 俺は仕留めたワイバーンと盾をアイテムバッグに入れて冒険者ギルドへと向かった。


 討伐報告をすると、予定よりも10体以上多く発生していたらしく、非常に驚かれた。何より1人で倒したのだ。俺は再びギルド長の部屋に呼び出されてしまった。

「用件はお分かりかと思いますが……。

 あなたの冒険者ランクを引き上げたく。」


 Aランク以上ともなると、Sランククエストに参加出来ることになるが、果たしてあの盾がSランク以上に通じるものか分からない。しかも年に1度は必ずSランククエストに参加しなくてはならないらしい。

 さすがにパーティーを組むしかないだろうか?


 そもそもオリハルコン弾だって通じるか分からないのだ。Sランクの魔物は等しく特殊攻撃をしてきて、巨大な体躯のものが多いのだとギルド長は言った。

 そんなもの倒したことがないので、倒せるイメージが出来ない。


────────────────────


X(旧Twitter)始めてみました。

よろしければアカウントフォローお願いします。

@YinYang2145675


少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。

ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?