ケルピーは今回オスがいたので素材の買い取りもあった。ケルピーのオスの角は薬として珍重されるのだそうだ。前回のはメスだったわけか。オス1体につきメスたくさんで群れを作るので、オスは群れの中に基本1体だけらしい。
それが小白金貨一枚と大金貨3枚。大金貨10枚で小白金貨1枚だと言われた。
……1300万くらいか?
これを素材にする薬はどんなものかと訪ねたら、受付嬢が赤面しながら、「……勃起不全です。」と耳打ちしてくれた。
……なるほど。人によっては喉から手が出る程欲しいだろうな。
角はかなり大きいものだし、素材の1つなので、実際の薬はそこまでの値段ではないらしい。
俺はワイバーンのクエストも単独で受けたいと告げたが、最早誰も難色を示す人間はいなかった。
ワイバーンは本来山に生息しているが、なぜか群れをなして人里の家畜を襲っているそうだ。山に登らなくてすむのは助かるな。
まだ日も高かったので、俺はヴァッシュさんの工房に立ち寄った。大金が手に入ったので、オリハルコン銃の代金を確認しておく為だ。まだ手に入る程の金額ではないだろうが、見えてきた気がしたのだ。
「おお、ジョージ、試作機が出来たんだ。確認してくれるかね。」
ヴァッシュさんは笑顔で出迎えてくれた。
俺は業務用のデカい鍋を使っているから、業務用サイズのものを注文していた。
ロンメルさんのところで見たのよりも高さが低かった。
「家で使うと聞いたからな、天井を考慮させたんだ。」
「助かります。」
蓋を試しにドライバーで外してみる。簡単に取り外しが可能だし、ボタンひとつで洗浄と停止が可能だ。
「これ、時間がきたら自動で止まるようにも出来ますか?」
停止をボタンでやるとなると、ずっとはりついてないといけないので、変えられるものなら変えたかったのだ。
本来業務用も家庭用も自動で停止するものだしな。
「時計を組み込んで、時間に合わせて温水を噴出する魔石から出る魔力を停止させれば可能だが、時計の分の別の魔石が必要になるぞ?」
その分高くなる、とヴァッシュさんは言った。
「時間効率の方を優先出来た方がありがたいです。食器洗浄機にはりついてる時間がなくなれば、喜ぶ人も多いと思いますよ。」
ヴァッシュさんは、うーん、と唸ったが、面白いかも知れんな、と言った。
「確かに今までになかったアイデアだ。
受け入れる人間が増えれば、色んなものを自動で停止するだけで、新しく商品が売れるかも知れんな。これも登録しよう。
はじめはなんでも高いもんだしな。」
と言ってくれた。
「ありがとうございます。
それと、ちょっと大金が手に入ったので、オリハルコン銃の金額を聞いておきたいのですが。
もちろんまだ先のことかとは思いますが。」
「あれか?中白金貨1枚に小白金貨4枚だ。」
素材だけでも大金貨100枚以上という俺の予想は当たっていたわけだ。
「とりあえず、手付で小白金貨1枚を置いていってもいいですか?」
「小白金貨?何で稼いだんだ?」
「ちょっとケルピーのオスを倒しまして……。」
「そいつはツイていたな!
あれの薬には、俺も昔世話になったが、本当にきくぞ!」
大分お盛んなんだなヴァッシュさん……。
まあ、この年齢でこれだけ精力的な人だ。そっちの方にもまだまだ興味があるのだろう。枯れてると言われる俺なんかより、よっぽど男として正しい姿かも知れない。
俺は帰り道、ラグナス村長の家に立ち寄った。料理対決の時と同じ素材が手に入ったので、皆さんに少しおすそ分けを……と告げると、料理対決の食材だって?と、見たこともない表情で飛び上がった。
そうか、今回は高級食材だと予め知られているのだ。まずかったかな。
おすそ分けするには高過ぎる食材だし、俺も知ってたらちょっと遠慮する金額だ。
だが食欲には勝てなかったようだ。うまいものを求めて目を輝かせるラグナス村長。
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