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第18話 ケルピー(フグ)のしゃぶしゃぶとシメの雑炊①

 俺は朝から湖に来ていた。サラマンダーとケルピーの討伐をする為だ。

 ケルピーは湖の中に、サラマンダーはその近隣の川周辺に生息しているらしい。

 どちらも数が増えすぎて、攻撃してくるので困っているのだそうだ。


 特に湖で魚が取れず、それで生計をたてている周辺の人たちが困っているので、役場から正式に依頼が来たのだそうだ。

 素材や食材目当ての場合もあるが、今回は公共機関が依頼してきたケースだった。


 この場合は素材を要求されていないので、持ち帰っても売ってもいいのだそうだ。

 料理対決の際は、事前にレシピ研究の為に大分食べてしまっていたら、対決時の時点では、みんなに味見して貰うほど量がなかったし、今回もおすそ分けするか。


 そう思いながら俺はサイレンサーを取り付けたライフルでサラマンダーに狙いを定める。

 サラマンダーは火を吹く以外は動きが鈍いので、遠距離で火力のある武器を持つ俺からすると、倒しやすい相手だ。確かに十数匹いるから、まとまって襲ってこられたら危ないだろうが。


 出来るだけ直線に並ぶのを待って狙いを定めて撃つ。オリハルコン弾は貫通する程威力があるので、こういうことも可能だ。

 倒れた仲間を見て慌てて逃げる──だが足が遅い──残りのサラマンダーを難なく仕留めてアイテムバッグにしまう。


 問題はケルピーだ。基本湖の中にもぐっていて、呼吸をする時だけ水面に上がってくるのだという。

 数を討伐しようと思うと時間がかかるし、回収する為に湖に入った途端、引きずり込まれる恐れがあると言われた。


 ケルピー自体はサラマンダーよりも弱いが、討伐の証拠を持ち帰るのが難しいのでBランクなのだそうだ。

 だが俺はとてもツイていた。ケルピーたちは日光浴の時間らしく、湖から上がってのんびりその身を地面で休めていたのだ。


 これならば回収に問題はない。しかも湖を囲むようにほぼ一直線に並んで座っている。

 俺は出来るだけ1度に倒せる角度を探して慎重に動いた。音に敏感と言われているので、湖に逃げられたら元も子もない。


 ライフルで撃ち抜くとパタパタとケルピーが倒れていく。一匹逃して湖の中に逃げようとしたところを撃ち抜くと、湖に沈みそうになるそれを、慌てて駆け寄って回収し、残りも回収してアイテムバッグに入れた。


 冒険者ギルドに討伐報告をして解体をお願いすると、その数に驚かれた。せいぜい1体、よくて数体だと思われていたらしい。

 特にケルピーは逃げ足が早くて難しいので、何度も討伐依頼を出していたのだそうだ。


 しかも朝出てすぐに戻って来たものだから余計だ。1人なら1日あってもこの数は不可能なのだと説明をされた。

 まあ、ツイていただけだからな今回は。

 バラバラに並ばれていたら、俺もケルピーは逃げられて2体が限界だったと思う。


 サラマンダー14体──魔物は体と数えるらしい──に、ケルピー17体。

 確かに1度に貫通させたと言っても信じて貰えない頭数だな。俺自身、オリハルコン弾の威力に驚愕したくらいだし。


 おすそ分けに1体分ずつそれぞれ肉を持ち帰ることにして、あとは買い取りして貰うことにした。

 幾つかから魔石と呼ばれる石が取れたので、それはまた別の買い取りになると言われて、精算された際に俺は驚いてしまった。


 まず肉だけでサラマンダー1体につき大金貨1枚と中金貨4枚。ケルピー1体につき大金貨1枚と中金貨8枚。しめて大金貨47枚。

 ……高くないか?宮廷で好まれる高級食材だと聞いてはいたが。


 そして取れた魔石が大きさによりまちまちだが、合計で大金貨7枚と中金貨3枚。

 Bランクでこれなのだ。Aランク以上ともなると、果たしていくらになってしまうのか。冒険者を目指す人間が多いわけだ。年収を軽く稼げてしまうわけだからな。


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