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第14話 オーク(豚肉)のカツ丼と豚汁と角煮②

 創造することが出来ないといえばいいだろうか。何でも出せるが、存在しないものは出すことが出来ない。恐らく1度でも作ってしまえば次からは出せるだろうが、最初の1回目は作成する必要があるのだ。


 老人は鋳型を使って、オリハルコンを流し込み、余分なオリハルコンを魔道具の中で捨てて、外に取り出すと、鋳型の底を叩いて取り出し、薬莢と弾頭と雷管を作ってみせてくれた。

「どうかね。」

「いいと思います。」


 完璧だ。いい腕だ。

 やってみなさいと言われて俺も作ってみることにした。

 最初は中が見えづらくて苦労したが、何度か繰り返すうちに感覚が掴めて、きれいに鋳型に流し込むことが出来るようになった。老人がニコニコしだす。


 弾頭が装甲に包まれていないが、オリハルコン自体が重くて硬くて柔軟性のある金属だから、恐らく当たっても対象を破壊する前に変形したりしない。鉛の表面をオリハルコンで覆うだけでも、衝撃で変形することを防いで威力が増すと思う。


 だが、徹甲弾のような硬すぎる弾の場合は、銃身にダメージを与える為に、逆に柔らかい金属で覆ってやる必要があるのだ。

 俺の銃身では、そのままでは使えない。俺が弾頭を柔らかい金属で包みたいと言うと、老人は我が意を得たり、という表情をした。


「まあ、普通の銃身じゃあ、このままじゃ使えんわな。」

 そう言って笑う。

「実はこんなものを作ってみたことがあってな。」

 そう言って、老人は1度奥に引っ込むと、ライフル型のオリハルコン製の銃身を出してきた。


「今は弾しか手に入れられんだろうが、金がたまったらコイツを買いに来るといい。

 弾頭を加工しなくても、そのままオリハルコンの弾を撃てるようになる。」

 存在するなら能力で出してしまえるわけだが、俺はぜひともこの老人から直接銃を買いたいと思った。


「いつか必ず来ます。俺はジョージ・エイトといいます。」

「ヴァッシュ・バーグだ。」

「バーグさん、本当にありがとうございました。」

 俺たちは握手をかわした。


 バーグさんは俺の銃身でも撃てるように弾頭を加工し、俺の用意した火薬を詰めてライフル弾の形にしたものを渡してくれた。俺はオリハルコン弾の代金を支払ったのだが、たかだかライフル弾を作って貰っただけで中金貨を支払うことになったのだ。


 ライフル弾に使う金属の量などたかが知れている。これが銃身ともなると、大金貨100枚以上取られることになるだろう。

 それを使おうとしたら呆れられたわけだ。

 再び山に登って、アイテムバッグに入れておいたオークを檻ごと出した。


 オークは一瞬キョトンとしたが、俺の存在に気付くと再び吠えだした。

 俺はライフルを構えると、オリハルコン弾を装填して頭を狙った。

 一発で脳天を貫通すると、地面に弾がささって、オークがグラリと倒れた。


 ……こいつは凄いな。

 俺は空薬莢と弾頭を回収した。その足で冒険者ギルドに向かうと、有料でオークの解体を頼むことにした。やはり手足が人間なのは気持ちが悪過ぎて俺には無理だった。


 冒険者ギルドの職員が驚いて奥に引っ込むと、ギルド長だと名乗る中年男性が出て来て、驚いた表情で俺に言った。

「あの、これを本当にお1人で?」

「そうですが。」

「少々お待ち下さい。」


 何やら奥に行って他の職員とヒソヒソやっている。……何かまずかっただろうか。

 結果としてクエストも受けていないのに、俺の冒険者ランクが1つ上がることになった。俺はオークの肉を受け取ると、ホクホク顔で帰宅した。


 オークはメスだったらしく牙がないので、肉を売らないと買い取り出来る素材がないと言われたが、俺の目的は肉なので、そんなことはどうだっていい。

 ようやく楽しみにしていたオーク肉が手に入ったのだ。


 アスターさんに角煮も作るとして、他の部分をどうしようかな、とワクワクしながら考える。

 俺はトンカツと角煮を作りながら、薄切りにして貰ったオーク肉を出した。


 冒険者ギルドでは薄切りにする技術がないので、紹介して貰った肉屋に持ち込んで加工して貰ったのだ。代わりに1部の肉を、肉屋におろすことになったが、まあ俺にとって必要がない部分だから問題はない。


 俺は卵、泥付きのゴボウ、玉ねぎ、人参、大根、こんにゃく、木綿豆腐、油揚げ、にんにく、生姜、長ネギ、白ダシ、七味唐辛子、たまり醤油、厚切りの鰹節、鯖と煮干しの混合節、薄切りの鰹節、親子鍋を出し、醤油、酒、顆粒の鰹出汁、昨晩の内に540ミリリットルの水につけておいておいた利尻昆布3枚と日高昆布2枚入りの鍋、味噌、砂糖、みりん、ごま油、キッチンペーパー、ご飯を用意した。


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