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第13話 ロック鳥(鳥肉)の冷手羽とレバーペースト①

 朝になり、俺は山に登ると、サーカスで置かれているような、大きな獣用の檻を出して置いた。

 もしも水色のスライムのように、オークも出せるものであるのなら、この檻の中にオークを出して、罠にハマった動物にトドメをさす時と同じやり方をする為だ。


 家のそばでやらないのは、住宅街で銃声をさせるわけにはいかないからだ。俺はライフルを用意して、檻の中をイメージし、オークを出した。──檻の中に緑色の人型の豚、オークが現れたかと思うと、ブオオオオォ!と吠えた。


 やはりこの力は魔物も出せるのだ。しかし人型の魔物とは聞いていたが、本当に手足は人間のそれだ。これを倒して解体するとなると、大分気持ちが悪いが、これも食物連鎖というものだ。俺は檻の中のオークめがけてライフル弾を発射した。


 俺は頭を狙ったのだが、ライフル弾はオークの体内の奥深くまで入らずに、少し額に傷をつけただけで弾かれて手前に落ちた。

 ──!!!!!?

 皮膚が硬いのか?

 オークは更に吠えて俺を威嚇した。


 通常のライフルで倒せないとなると、50口径の対物狙撃ライフルを出すことになるが、対人に使用すると遺体の損傷があまりに酷いので、対物狙撃ライフルと呼ばれているくらいのシロモノだ。倒せても肉が食べられないのでは意味がない。


 だが、この世界の冒険者たちが倒しているのだから、倒す方法があるわけだ。

 俺は1度オークを檻ごとアイテムボックスにしまうと、最初にオーク肉の料理をお裾分けしてくれた、ラズロさんの家を訪ねることにした。


 ラズロさんは仕事で出かけていていなかったが、ティファさんが笑顔で出迎えてくれた。

「すみません、お尋ねしたいことがあって来たのですが。」

「はい、なんでしょう?

 ──あ、昨日のお料理いただきました、とても美味しかったです、ごちそうさまでした。」


「あ、いえいえ、お口にあったのでしたら良かったです。

 以前お裾分けしていただいたオーク肉の料理なのですが、どなたかから肉を分けていただいたとおっしゃってましたよね?」

「はい、この村で冒険者をやっているアスターさんが譲って下さいました。」


「その方を紹介していただけませんか?」

「構いませんよ?

 朝にお見かけしたので、今日はクエストも受けてないと思いますから、ご自宅にいらっしゃると思います。」

 ご案内しますね、と言って先に立って歩くティファさんの後ろについていった。


 アスターさんは快く俺を出迎えてくれた。

 とても体格がよく、剣士をしているらしい。今までの料理もどれも美味かったが、豚肉の柔らかい固まりが一番美味かったよ、いつもありがとう、と言ってくれた。角煮のことか。時間はかかるが、オークが倒せたらまた作ってみるか。


「さっそくなんですが、オークを倒したとお伺いしましたが、それはどのようになさったんですか?

 俺も最近冒険者を始めたのですが、倒し方のコツをお伺いしたくて。」


 俺はアスターさんの出してくれたお茶に口をつけた。少し渋いがうまい。

〈ロザンフィ茶〉

 ロザンの新芽と若葉を乾燥させて煮詰めて薄めたもの。滋養強壮の効果がある。

 ほーお。面白いお茶があるんだな。


「オークかい?

 あれは魔法使いに皮膚を傷付けて貰うか、デバフで防御力を下げて貰わないと、普通の鉄の武器じゃ刃が通らない、皮膚が硬くて地味に手強い魔物さ。

 俺のパーティーにはデバフの使える弓使いがいてね。そいつに防御力を下げて貰ったのさ。」


 防御力を下げるなんてことは俺には出来ないし、魔法も使えない。誰かとパーティーを組まないと無理なのか。

 ──いや?

「鉄の武器じゃ刃が通らないとおっしゃいましたが、刃が通る武器もあるんですか?」


「あるぜ?

 ミスリル、アダマンタイト、オリハルコンを使った武器がな。」

 俺でも聞いたことがあるような、ないような名前だから、恐らく有名なのだろう。


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