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第9話 鳥ひき肉とれんこんの蒸し物2種類と、エノキ、アスパラ、人参の豚肉巻き③

 ラップにくるんでココット皿にちょうどの大きさに取り分けたら、蒸し器で8分、串を刺してみて火の通りが悪ければ更に2分蒸してやる。

 電子レンジでも出来るらしいが俺は火加減が難しいので蒸し器を使う。


 お湯でといた顆粒だしに、みりんと醤油を少々入れて、火が通ったら水溶き片栗粉を加えて、あんを作り、ココット皿から取り出して、ラップを外して別の皿にのせなおした、団子状の物を乗せてあんをかけて、鳥ひき肉とれんこんのあん蒸しの完成だ。


 れんこんを蒸している間に、野菜の肉巻きを作ることにする。

 白胡麻をちょっと炒ってから、醤油と酒とみりんと水をそれぞれ大さじ2と混ぜ合わせたものを、小鉢に入れてよけておく。


 エノキは石づきを取り、アスパラと人参は軽く下茹でしておく。

 野菜は何だっていいのだが、単に彩りの問題と、母がよく作る時がこれだったというだけだ。


 広げた豚肉の薄切りにエノキ、アスパラ、人参を並べて、巻きずしの要領で手前から巻いてやる。

 巻き終えたら小麦粉を全体に薄く付けて、フライパンにサラダ油をしいて、巻き終わりの部分を下にして中火で1分程焼いて、剥がれないようにしてやる。


 ひっくり返して肉が剥がれてこないのを確認したら、小鉢に入れてよけておいたタレを入れて、時々コロコロとひっくり返してやりながら、弱火で蒸し焼きにする。タレが煮詰まったら野菜の肉巻きの完成だ。


「──いただきます。」

 今日のメニューは鳥ひき肉とれんこんの蒸し物2種類と、エノキ、アスパラ、人参の豚肉巻きだ。

 米もしっかり炊いてある。熱々ご飯と一緒にかきこむ。


 このれんこんと鳥ひき肉の蒸し物は、母がよく作ってくれて、子どもの頃から我が家の食卓によく並んでいたメニューだ。

 俺は子どもの頃ワサビは苦手だったが、カラシ醤油は平気で、これでバクバクおかわりをしたものだ。


 しいたけと人参と枝豆を混ぜてあんをかけた方は、付き合ってた相手がオシャレな料理を好むので作ったものだ。

 栄養のバランスを少しでもよくしたくて作ったが、男飯のおかずとしては、ちと物足らない。どちらかというと酒のツマミ用だ。


 エノキ、アスパラ、人参の豚肉巻きも、甘辛い味が白飯と実に合う。

 ──いかんいかん、今日は酒を楽しもうと思っているのだ。白飯で腹いっぱいにしてしまっては、酒が入らなくなる。


 俺はおかずを残しておいて、買ってきた異界の酒を並べた。

 まずはムーガという酒だ。

〈ムーガ〉

 発酵させたロロアガを濾過し、熟成させたもの。ビールに似ている。

 アルコール度数5%。

 とあった。


 実際飲んで見ると、地ビールで飲んだことのあるような味がする。ロロアガが大麦のような植物なのだろうか?

 しまった、これは先に確認して冷やしておけばよかったな、と後悔したが、まあ店主は常温で飲むものだと言っていたし、これはこれで悪くなかった。


 次はイイコワという酒だ。

〈イイコワ〉

 厳選したラカンの実を発酵させず蒸留させた酒。レーズン風味でジヴァニアに似ているブランデーの一種。

 アルコール度数45%。

 とあった。


 ジヴァニアが分からんが、そのままだとアルコールが強すぎで味がよく分からなかったので、炭酸で割ってみたが実にうまい!

 フルーツの香りが爽やかに鼻に抜ける。

 グイグイいける。やばいな、飲み過ぎちまう。


 素材を厳選してるとうたっているだけのことはある。

 これはリピート確定だな。暑い日に冷やして飲んだら更に最高なんじゃないか?

 ジヴァニアは元の世界の酒だと思うが、そっちのも今度取り出して飲んでみよう。


 異世界の酒を堪能し、気持ちよく酔っ払った俺は、後片付けもそこそこに、ワイルドボアの肉をどう調理しようか、楽しみに考えてワクワクしながら、明日の土作りの為に早めに休んだのだった。

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