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第9話 鳥ひき肉とれんこんの蒸し物2種類と、エノキ、アスパラ、人参の豚肉巻き②

 明日は朝から土作りから始めるとするか。

 大体の土地は、そのまま農作物が植えられるようには出来ていない。

 養分が足らなかったり、割と大きめの石が土に混ざっていたりする。

 それを取り除いて土を作らないと、いい作物は育たないのだ。


 俺は職場の奴らに名前と住所と電話番号を借りて、公共機関がやっている貸し出し農園に毎年応募しては、土作りから畑をやっていた。

 抽選だから毎年違う場所が当たるので、土作りから始めなくてはならなくなるのだ。


 家庭菜園をやってみようとする人は多いが、土作りの大切さを知らずに、そのままちょっと掘り返した穴に種を植えてしまうことから、いい野菜が育たない。

 逆に俺が去年耕したスペースは、土がまだいい状態のままだから、何もしなくてもそれなりのものがいきなり育つ。


 他のスペースと比べて、俺の借りている場所と、俺が去年借りていたスペースだけが、まともな野菜が育っているので違いはすぐ分かる。

 木や、つるの背の高さが段違いなのだ。

 俺は毎年、トマト、ナス、きゅうり、トウモロコシ、キャベツは必ず植えていた。

 毎日世話しなくてもそこそこ育つからだ。


 メロンも試したがあまりうまくいかずに間引いた実を漬物にして食べていた。

 今回こっちで成功させてみたいものだ。

 農薬を使わないから、ひとつひとつキャベツについた青虫を取って、大半は飼っていた鳥に食わせて、一回だけ蝶になるまで育てたこともあった。


 いい土を作ると、新しい野菜を植え替える時に、カブトムシの幼虫が大量に見つかるのも毎年の出来事だったなあ。

 せっかくだから育てようとして、そっちはうまくいかなかった。

 こっちでもやはり野菜を食べる虫がつくようなら、鳥を飼うのもいいかも知れない。


 命をただ始末してしまうことを、どうしても俺はもったいないと感じてしまう。

 とった虫をそのまま処分するよりも、鳥の餌にしたくなるのだ。

 どうせ命が失われることに違いはないのだから、害虫として始末するのも、鳥の餌にするのも、虫からしたら同じことだが。


 俺は風呂から上がると、豚肉の薄切りと、鳥ひき肉200グラム、エノキ、アスパラ、人参、しいたけ、枝豆、れんこん300グラム、しょうが、万能ネギ、チューブの練りカラシ、ココット皿、蒸し器を出して、醤油、酒、みりん、サラダ油、白胡麻、顆粒だし、片栗粉を準備した。


 れんこんは皮をむいて、食べごたえの為に、3分の1を小さく角切りにし、残りはすりおろす。全部すってももちろん構わない。

 れんこんの量と鳥のひき肉の量は、どちらかを多めにすることで別の味が楽しめるのが面白い料理だと思う。今回はれんこんがが多めだ。


 ボウルに鳥ひき肉とすりおろしたれんこんを入れ、酒大さじ1、すったしょうがの絞り汁、塩少々を加えて粘りが出るまでよく練り混ぜたら、角切りにしたれんこんを加え、全体をよく混ぜてやる。

 この時つなぎに卵や片栗粉を加えるやり方もある。俺は半分を別のボウルに分けた。


 広めの底が平らな深い陶器の皿に、卵が入っていない方を入れてのばして、平たく広げてやる。

 蒸気の上がった蒸し器に入れ、強火のまま20分蒸してやる。


 電子レンジでも出来るらしいが、高さが均等じゃない皿だと、火がうまく通せないので、うちでは蒸し器を使用する。

 火がとおったら、蒸し器から取り出して、万能ねぎを細かく切ったものを散らし、小分けにして小皿に取り分けてカラシ醤油でいただく。ポン酢でもいい。


 人参と、石づきをとったしいたけをうすーく切る。今回はしいたけの軸は使わない。

 枝豆を皮から取り出してやって、軽く包丁でまとめてざく切りにして、小さく、火が通りやすくする。

 半分を別のボウルに分けた、れんこんと鳥ひき肉に卵を入れて、人参、しいたけ、枝豆とともに混ぜてやる。

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