別に開いてから内蔵を取り出してもいいのだが、最初に教わったやり方がこうだから、こうしているというだけだ。
開いてからの方が肺は取りやすい気がする。
真ん中から骨に沿って包丁を入れ、胸の骨にそって開いてやる。
肋骨を切り離して胸の骨を外す。
胸の色の薄い所はササミだ。
胸の骨の左右から包丁を入れると、自然とササミと胸肉に分離する。胸肉は適当な所で切り落として皮をむいた。
湯を沸かし、塩をひとつまみ入れて、ササミをさっとくぐらせる。
表面が白くなったら氷水をはったボウルに入れてよく冷やしてやり、水気を切ってスジを取り除いたら、そぎ切りにして煎った白胡麻とからめてやる。
鶏わさ風のササミの胡麻和え刺し身の完成だ。
わさび醤油でいただく。
食べやすい大きさに切った胸肉を、塩と酒を少々振って揉み込んだら、キッチンペーパーで水気を拭き取り、全体に薄く片栗粉がまぶし、沸騰したお湯に入れて、浮かんで来るまで中まで火を通す。
茹で上がったら氷水に入れて冷やしてやって、水晶鳥の完成だ。
つけダレは梅干し2つをほぐしたものに、青じそを3枚刻んだものと、タコを叩くのに使った大根を、大根おろしにして水気を切ったものを少し混ぜて、1分加熱したみりん大さじにと、4倍濃縮の麺つゆ大さじ1とまぜたものを用意した。
砂肝には非常に硬い皮が付いているのだが、俺はこの部分もコリコリしていて好きなので剥がさないが、普通は切り落として使う。
砂肝をさっと熱湯で茹でる。
サラダ油で中火で熱したフライパンで砂肝を炒め、色が変わったら酒大さじ1を振って蓋をして弱火で5分蒸したら、1度砂肝を取り出してフライパンを洗い流して、中火でみじん切りにした白ネギを炒める。
白ネギがしんなりしたら、鶏ガラスープの素少々、ごま油とレモン汁をそれぞれ大さじ1、にんにくチューブを少々、塩コショウをお好みで振って、白ネギと砂肝と混ぜ合わせて、砂肝のネギ塩レモンの完成だ。
お次に皮に塩コショウした後で、網の上に乗せて両面をカリカリに焼いて油を抜き、適当に細切りにする。オーブントースターでもいける。
大根おろしに乗っけて刻んだネギの青い部分を散らして、ポン酢をかけてパリパリ鳥皮ポン酢の出来上がりだ。
残った手羽先なんかはどうしようかなあ、と思いながら、俺は2階の空いた部屋にガンロッカーを出して、空気銃にエアーを充填して、ガンロッカーに除湿剤を入れて空気銃をしまった。
空気銃、つまりエアライフルは、水分が一番の敵だ。
エアライフルが濡れている場合は、必ず水分を拭き取って保管する必要がある。銃砲身内に水分が入った時は、軽くシリコンスプレーを吹きかけた、クリーニング用のフェルト製ペレットを発射しておくとよい。
空気銃で鉛弾を撃った後、最後にこのクリーニング用のフェルト製ペレットを発射させることで、手間なく簡単に銃口内のクリーニングが出来るのだが、シリコンスプレーを吹きかけてあることで、中をコーティングしてくれる。
「──いただきます。」
俺は1階に降りて食事にすることにした。
今日はノズエを使った、鶏わさ風のササミの胡麻和え刺し身、水晶鳥、砂肝のネギ塩レモン、パリパリ鳥皮ポン酢だ。鶏用のレシピだけど実に合う。
新鮮な刺し身はさっぱりしているし、水晶鳥のぷるぷるの食感がたまらない。砂肝がやっぱり身よりも好きだな、俺は。鳥皮の食感が嫌いで焼いたが、正解だったな。こっちの方がうまい。
地元のノズエづくしを堪能し、大満足した俺は、そういえば、オーク肉も美味かったあ、と思い出した。
オークは冒険者ギルドに登録してないと、狩ることが出来ないらしく、狩る以外で手に入れるとなると、買うか譲って貰うかするしかない。
冒険者ギルドか……。
異世界の食材ももっと堪能してみたいし、登録してみるか?銃があれば別に狩りは出来るわけだしな。
許可があるかないかだけの違いだ。
俺はノズエの余った部位を適当に料理して、ラグナス村長への手土産にし、冒険者ギルドに登録したい旨を告げに行った。
なんの身分の保証もない俺としては、村長に保証人になって欲しかったのだ。