俺が出した発電機は、5.5KVAを6.1h持続可能でエアコンもつけられる。
収納式の取手で一輪車のように持ち運び出来ることと、リコイル式を備えているので、万が一バッテリーが上がっても、エンジンがかけられるのが魅力だ。
ツマミを回してその横のボタンを押すと動くのだが、かなり音がするものの、離れれば気になる程ではなかった。
使用していると排気が出るので、使用時は窓を常に開けておかなくてはならない。
この部屋は丸ごと発電機用にすることになるな。
通常のコンセントの差込口もあるので、直接さして使う事もできるのだが、配電盤とブレーカーの設置をすべきだろうか。
まあ、そこはおいおい考えていこう。
風呂ともなると、ペットボトルから水を出していてはやってられない。
というより、水、と言うたびペットボトルで出てくることに困っていたのだ。
俺は1つ試してみたいことがあった。
災害時にも使ったことのある、水用のポリタンクをまずは出す。
そして水、と言った。
するとポリタンクの中に満タンに水が入ったではないか。
これで毎回ペットボトルを出さなくてもよいし、ゴミの問題に悩まなくてもいい。
俺はそれを何度か繰り返して、風呂の中に水をためた。
実にデカい浴槽で、今から期待が高まる。
続けて投げ込み式ヒーターを出して、スイッチが切れていることを確認してから、発電機のコンセントにさした。
温度設定の出来るタイプで、30度から100まで設定可能だ。
発熱部が隠蔽型のものなので、ポリバケツにも使える。
規定の水位まで水がはられていることを確認する。
空焚きは危険だからな。
電源を入れてキッチンタイマーをスタートさせる。
投げ込み式ヒーターは引っかけておける大きな爪があるので、万が一にも水中に沈むことはないと思うが、浮力によっては確実とも言えない気がして、不安でじっと見守った。
30分経った頃、いい感じに熱くなった。
現時点で追い焚きは難しいだろう。
手早く風呂に入ることにして、投げ込み式ヒーターの電源を切り、コンセントから抜いて、発電機の電源を落とした。
この順番は決して間違えてはいけない。
俺は石鹸の代わりに重曹とクエン酸を浴槽にコップ1杯ずつ入れた。
これは炭酸風呂というもので、垢も落としてくれて体もあたたまるスグレモノだ。俺は週1回これに入るのだが、しっかり垢が取れるのだ。
顔を洗う際には洗面器にスプーン1杯ずつくらいでいい。
風呂はこれでいいとして、シャンプーをどうしようか。
湯シャンでもいいのだが、最近スーパー銭湯に行くことが多くて、ついついシャンプーを使ってしまっていたのだ。
どうしても皮脂が出るから、いきなり湯シャンに切り替えると、体が慣れるまで皮脂の出る量が減らずにベタベタになってしまう。
考えている間に風呂が冷めそうだったので、今日は湯シャンで済ませることにした。
桶とタオルを出して準備もバッチリだ。
頭と体を流してから湯船に体をつからせる。
浴槽のお湯で垢を落とすわけだから、事前に洗ったりなどしない。
まあ、1人だからこそ出来ることだな。
思わず声が出てしまうのは何故なんだろう。
このまま寝てしまいたいくらい心地よかった。
シャワーのみで済ませても平気な国や、人種に生まれてこなくて良かったとつくづく思う。
俺はこの家で一番好きな場所が風呂になった。なにせ手足がのばせるのだ。
手足ののばせる風呂以上のぜいたくなんて、俺にとっては存在しない。
炭酸風呂は普通よりも体が温まりやすい。
俺はのぼせてしまう前に風呂から出た。