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第3話 焼きおにぎり茶漬けと青じそとカボチャの味噌汁と菜の花の辛子和え②

 あたたかいうちに醤油1、みりん1を、全体と混ざるように、まんべんなくまぜて、握っておいたものだ。

 ちなみに1つは中にチーズを入れてある。

 俺はこれを焼きおにぎりにするつもりなのだ。


 フライパンを熱して、おにぎりを入れて、中火で焼色がつくまで焼いてひっくり返す。

 焼けた表面にハケを出して薄く醤油をぬり、裏面にも焼色がついたら、ひっくり返して醤油をぬる。

 これだけだ。

 事前に混ぜるだけで均等に米に味が染みてうまい。


 昨日の青じそがまだ余っていたので、味噌汁に使うことにした。

 俺はカボチャと味噌とあごだしを出すと、皮をヘチマブラシでゴシゴシと洗ったあと、力を入れて割った。

 ちなみにうちは大体白味噌7の赤味噌3だ。


 本当は電子レンジでラップをかけて、ちょっとあたためれば、スッと切れるのだが仕方がない。

 種とワタを取り、カボチャをうすくスライス状に切って、沸騰したお湯に顆粒だしとあごだしを共に入れる。


 あごだしは好みの問題なので入れなくてもいいし、昆布だしでもいい。

 別に四角く切ってもいいのだが、うちは母がスライスしていたので、こうしているというだけだ。


 大体中火で10分くらい。柔らかくなったと感じればそこまで煮なくてもいい。

 煮物の場合は強火だったり弱火でコトコトやる方が柔らかくなったりと、色々やり方はあるのだが、薄くスライスしてあるので、あまり時間はかからない。


 火を止めて味噌をとき、細切りにした大葉(青じそ)を入れて軽く混ぜて予熱で火を通す。

 お好みで上に散らすだけでもいい。

 お椀にもって出来上がりだ。


 もう少し栄養が欲しくて、鍋をもう1つと、菜の花とからしと氷を出した。

 菜の花の根本を切り落として、沸騰したお湯で1分茹でる。

 ザルにあけて湯切りをする。この時煮汁を少しとっておく。


 氷水をはったボウルに入れてさっと冷ます。

 水気を絞って一口大に切り、醤油小さじ2、からし小さじ1、顆粒だし少々、取っておいた煮汁を加えて混ぜておいた別のボウルに入れて混ぜ合わせる。


 煮汁に旨味成分が出ているので、水を使うより深みが出る。お浸しを作る時にも俺は必ず使う。

 味付けはお好みなので適当でよい。

 本当は冷蔵庫でしばらくつけ置きたいのだが仕方がない。


「──いただきます。」

 今朝の朝食は焼きおにぎりと青じそとカボチャの味噌汁と菜の花の辛子和えだ。

「アチチチ。」

 焼きおにぎりはまだアツアツだった。

 チーズ入りのも入っていないのも、それぞれウマい。


「最後はやっぱりこれだよな。」

 俺はやかんとお茶っ葉と急須と梅干しを出して湯を沸かすと、ドンブリに焼きおにぎりを入れて、上からアツアツのお茶を注ぎ、梅干しと練りわさびを乗せた。


 焼きおにぎりのお茶漬けを、熱いうちにガッとかきこむ。

 本来のお茶漬けはこういうものなのだ。

 有名メーカーの顆粒のも好きだが、やっぱり生の梅干しを使うなら、普通のお茶に限る。


 ちなみに高校生の時に初めてのバイト代で購入したものは、お取り寄せの桐の箱に入った梅干しだった俺である。

 お茶と梅干し。この組み合わせが何より好きな子どもであった。

 ちなみに某社のしば漬けの梅は常に我が家にストックしてある。


 腹もいっぱいになったので、風呂の問題を解決することにした。

 冬場のことを考えると、やはり外で風呂に入るのはキツイ。

 なんとか電気を手に入れなくてはいけない。


 朝飯を食っている間に日が昇ったので、俺はランタンのスイッチを切り、昨夜落とした乾電池を探した。

 乾電池はドアのあたりまで転がっていた。

 どうりですぐに見つからないわけだ。


 俺は思い切って発電機を出してみることにした。

 1階の空いている部屋にそれを出したのだが、まあデカい。

 ガソリンを使うタイプなので、取り扱いには注意が必要だ。


 会社の非常用に置いてあったのと同じものだから、まあ当たり前か。

 給油ポンプつきのガソリン携行缶を出し、静電気除去シートも出して設置して、ガソリン携行缶のエア抜きをした。


 窓をあけて慎重にガソリンを移すが、それでも大分臭かった。

 10リットルがすべて空になったので、室内で残ったガソリンを気化させない為に、ガソリン携行缶を家から離れたところに蓋をあけておいておいた。


 さて、準備は整った。震災時に職場で使ったことはあるものの、あの時は説明書を見ながらだったので、今回もうまくやれるかは分からない。

 今後の生活は、こいつをうまく使えるかにかかっていると言えた。

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