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第2話 マグロとカンパチと鮭の黄身醤油あえ海鮮丼と、3種のキノコのすまし汁②

 マグロの切り身と、カンパチの切り身と、サケの切り身と、青じそ、練りわさび、ドンブリ、使い切ってしまったので卵を出す。

 単純に俺がこの3つの魚を好きだというだけだ。

 他にもあるが、大体刺し身を食う時はこの3つをメインに食べる。


 余った刺し身を使って作れるので、ぶっちゃけなんだっていい。

 刺し身をサイコロ状に切る。まあ、大体1センチから2センチ目安と思えばいい。

 青じそは千切りにする。


 ちなみに青じその茎の部分を切ったあと、そのニオイをしばらく嗅いでしまうくらい、俺は青じそが好きである。

 刺し身を食う時は巻いて食べるのも好きだ。

 子どもの頃からの癖なので、昔は渋いね、と言われたものだが、好きなものとは大人になっても意外と変わらないものだ。


 酢飯を作るのにボウルを使ってしまったので、別のボウルを出す。

 そこに卵黄を1個分白身と分けて入れ、醤油を小さじ2加えてよく混ぜる。

 そこにサイコロ状に切った刺し身を加えてあえる。


 酢飯を丼に盛り、黄身醤油であえた刺し身をきれいに盛り付け、千切りにした青じそを乗せて、練りわさびを添えれば完成だ。

 パックの刺し身が余った時は、大根のツマを刺し身と黄身醤油とあえる時に加えてもいい。


 しかしカセットコンロのボンベをどうしたものか。やがて捨てなくてはならなくなるが、捨てる以外の方法が分からない。

 何か考えなくちゃいけないなあ、と思いながら、俺は残ったご飯をお握りにした。


 クーラーボックスとプラスチックの蓋を出して、クーラーボックスの中に、プラスチックの蓋を被せた皿にお握りを置いてしまった。

 プラスチックの蓋はラップと違って何度でも使えるので、俺はいつもこれを使っていた。


 俺はさらに、顆粒だし、しめじ、えのきだけ、しいたけを出した。

 きのこはいしづきを落として、しめじは適当に手でバラし、えのきは半分に切ってから適当にバラす。しいたけは薄切りにする。

 ちなみに俺は貧乏性なのでしいたけの軸も輪切りにして使う派だ。


 それを火が通る程度にだし汁で煮て、黄身醤油を作る際に余った白身を流し入れて軽く混ぜ、沸騰しないように火を通し、醤油を小さじ2程度、塩少々を加えて、すまし汁の出来上がりだ。

 短時間で作れて、キノコからたっぷりと旨味が出る。


 薄口醤油を使うやり方もあるが、醤油が傷んだら嫌なので、醤油を使うことにした。

 三つ葉を上に乗せると、見た目もキレイだし香りもいいが、茎がかなり長いので、それを使い回すことを、考えないといけないなと思い、今回はやめた。


「──いただきます。」

 夕飯はマグロとカンパチと鮭の黄身醤油あえ海鮮丼と、3種のキノコのすまし汁だ。

 休みの日なら何種類か小鉢をそえるが、普段は具だくさん味噌汁なんかで栄養をまとめてとることにしている。


 凝ってしまうと小鉢が8つも並んだりする。

 俺が作るものを見て、よく付き合ってた女性たちが自信をなくしていたが、作りたい人間が作ればいいと俺は思っている。


 丸投げされると、家事は女の仕事じゃないと怒る癖に、こっちの方がうまいと凹むと言われても、どうしたらいいか分からないし、1人の方が気楽だな、と思ってしまう。


 俺の知る限り、独身の女性は殆ど料理をしない。実家住まいでも、一人暮らしでも。

 結婚してから覚えればいいと思っている人が多いように思う。

 一人暮らしで料理をするのは、圧倒的に男が多い。


 料理を女子力とか言っているから、そんな風に思うのだろう。

 単に生活力の問題で、必要にかられたり、俺のように食べたいものがコンビニや近所の店になければ、作ってでも食べたくなる人間もいる。

 それだけの話だ。


 冷蔵庫があれば使いまわし出来るから、常備菜なんかも作りたいんだがなあ……と思いながら、俺の心は既に明日の食事をどうするかにしめられていた。

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