それからというもの、俺は毎日吸血された。
その吸血鬼が探索に出て、食料や水を調達する。
そして、吸血鬼の中に料理できるものがいるのだろう。
できる限り食べやすいように工夫された料理が毎日俺のもとに運ばれてきていた。
「おいしい」
嘘だ。味なんてしない。
ただ液体を喉奥に流し込み、固形物を飲み込む作業。
それでも生きるためには仕方がなかった。
そんな生活が続いたころ吸血鬼の一体が死んだ。
民家に食糧があると感づいた人間たちがいたのだ。
そんな集団が民家に襲撃に来た。
襲撃に来た人間は全員吸血鬼によって殺害されたが、最後の最後に置き土産を食らってしまったらしい。
そこで知ったのだがどうやら吸血鬼は【眷属】という物を作らなければ戦闘能力はないに等しいらしい。
眷属を作り定期的に吸血することで血力を貯えなくてはいならない…らしい。
具体的にどうやって眷属を作り出すのかは教えてはもらえなかったが…
吸血鬼について新しいことを知る日々が続いた。
吸血鬼と人間におびえる日が続いた。
そしてまた今日も、吸血鬼の一人が重傷を負って帰還したらしい。
「大丈夫…ですか」
俺は吸血鬼にそんなことを言う
「血を…」
予想できた返答を前に俺は自らの首を差し出す。
すると吸血鬼は優しく歯を立て血をすする。
理由はわからなかった。だが、ここにいる吸血鬼に対する恐怖心は、消えていた。