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第26話 みちるとかなこと異世界で:第2話〜異世界無双生活の終焉〜

前回のお話


魔王を倒して全クリするまで二度と戻れないゲームの世界に来てしまったみちるとかなこ。

なぜか最初からLv.569のかなこがひたすらこの世界で無双するだけの旅が始まった!




かなこ(Lv.1)「はい……はい…………運営様…………この度は……本当にすみませんでした……」


みちる(Lv.1)「うわぁ…………」


かなこ「もう二度と……!二度とチートはやりませんから……!どうか……BANだけは!!」


みちる「土下座しとる…………」


かなこ「はい……ありがとうございます…………失礼します!」



…………。



かなこ「ウッ……ウッ………レベルもステータスも全部1にされちゃった……」


みちる「そらそうだろ。むしろそれくらいで済んでよかったわ」


かなこ「翼までもがれちゃった……」


みちる「あの羽根キモかったからよかったよ」


かなこ「まさか初日に運営に捕まるなんて……」


みちる「異世界にきて友人が連行されていくところ見ることになるとは思わなかったわ」


かなこ「クソ……あの受付の女め……」


みちる「そら冒険者登録しにきた奴がステータス振り切ってたら通報されるわ」


かなこ「…………まあというわけで!これで私もみちると同じレベルまで落ちてしまったわけだ」


みちる「人を犯罪者みたいに言うな。むしろお前だろ」


かなこ「気を取り直して早速冒険に出よう!」


みちる「どこに向かうんだ?」


かなこ「東の果てにドラゴンが眠ると言われる谷があるらしい」


みちる「絶対Lv.1で行くところじゃねえだろそれ」


かなこ「じゃあとりあえずこの町の周辺にいる雑魚モンスターでもしばいてレベル上げしよう」


みちる「人聞きが悪いな」


かなこ「よーし行くぞー!」



…………。



かなこ「みちる!ネズミそっち行ったよ!石投げて!」


みちる「任せろ!オラッ!!」ガツン!


かなこ「よし!当たった!さーて金目の物は……」


みちる「おいまだ死んでないぞ!」


かなこ「えっ?」ガブッ


みちる「あっ」


かなこ「ギャアアアアアアアア」


みちる「ほら油断すっから」


かなこ「あ……あ………もうダメだ………感染症が……」


みちる「ゲームの中だから大丈夫だろ知らんけど」


かなこ「あれ?ネズミは?」


みちる「あー逃げられちゃったな」


かなこ「くっそー……あのハゲネズミ次こそはぶっ殺してやる………もっと大きい石……大きい石を探すんだ………」


みちる「……なあ、私たち戦い方これで合ってるか?」


かなこ「え?」


みちる「多分だけど、魔法使いと勇者の戦い方じゃないと思うわこれ」


かなこ「どうしたらいいんだろう」


みちる「多分決定的に足りてないものがあると思うわ」


かなこ「足りないもの…………それは……敵を倒したいと思う強い気持ち?」


みちる「なんで根性論なんだよ。単純に装備がないだろ」


かなこ「装備かー。そういえば私たち二人とも丸腰だもんねー」


みちる「な?だからとりあえず町に戻って装備を揃えよう」


かなこ「私は勇者だしやっぱり釘バットとか?」


みちる「なにがやっぱりなんだよ」


かなこ「みちるは魔法使いだから……」


みちる「まあ杖……?」


かなこ「のようなもの?」


みちる「凶器みたいに言うな」



…………。



みちる「で……今持ってる金が最初から運営に配られてる500Gずつと」


かなこ「私たちは日没までにこのお金を倍に増やせばいいんだね?」


みちる「そういう企画じゃない」


かなこ「よし、じゃあ早速武器屋へ向かおう!」


みちる「そうだな。とりあえずお前の剣でも買うか」


かなこ「よしついた武器屋!」


みちる「早いな」


かなこ「すいませーん。刃物買いにきたんですけどー」


みちる「表現が悪い」


武器屋「はいよお嬢ちゃん。どんな凶器が欲しいんだ?」


みちる「こっちはもっと悪いな」


かなこ「とりあえず1000Gで買える一番高い剣ください!」


みちる「お前ふざけんなよなんで私の金まで予算に入れてんだ」


武器屋「運がいいね嬢ちゃん!この店で最高級の剣が1000Gだよ!どうだいこれ?」


かなこ「すごい……私、なんだかこの剣に運命を感じる……」


みちる「最高級って聞いたからだろ」


かなこ「私……この子に決めた……絶対にこの子がいい!!」


みちる「お前絶対値段に釣られてるだけだからもっと他のもよく見ろ」


武器屋「魔法使いの嬢ちゃん……まだわからねえかもしれねえけど剣ってのは不思議と持ち主を選ぶんだよ……きっとその剣はそこの嬢ちゃんに買ってほしくてずっとこの店で待ってたんだぜ」


かなこ「うん……私、聞こえる……この子の声が……」


みちる「なんて言ってんだ?」


かなこ「『僕を見つけてくれてありがとう……僕はかなこちゃんと旅をするために生まれてきたんだ……』って言ってる!」


みちる「ほんとかよ」


武器屋「よし!そうと決まれば会計だ!さあ1000G出してくれ!」


みちる「おいこの剣、値札剥いだ跡あるぞ」


かなこ「えっ」


武器屋「あっ」


みちる「うーん…………うっすいけど50Gって書いてあるわ」


武器屋「あーいや……それは……」


みちる「おっさん完全にぼったくろうとしただろ」


武器屋「いやー……ハハハ…………」


かなこ「運命感じないわこの剣」


みちる「お前も大概だな」


かなこ「あっ『僕よりいい剣……たくさんある……かなこちゃんはこの店で本当に一番高い剣を持つべき……』って言ってる!」


みちる「めっちゃ謙虚になったな剣」


かなこ「『このぼったくりを運営に報告すればこの店すぐ潰せる』」


武器屋「すみませんでした!」


かなこ「『土下座……』」


武器屋「はい……どうかこの通り……運営にだけは……運営にだけはどうか……!!」


かなこ「『じゃあそこに飾ってある一番高そうな剣をかなこちゃんにタダであげて』」


武器屋「…………はい……」


かなこ「『苦しゅうない』」


みちる「よく喋る剣だなあ」



…………。



かなこ「よーし武器屋で一番高い剣がタダで手に入ったぞー」


みちる「剣を盾にして交渉するやつ初めてみたわ」


かなこ「人に土下座させるのってこんなに気持ちいんだね!!」


みちる「おい変な快感を覚えるな」


かなこ「今までしてばっかりだったから」


みちる「どんな人生送ってんだよ」


かなこ「よし!じゃあ次はみちるの凶器だね!」


みちる「杖な杖」


かなこ「ついた!ここが杖屋だよ!!」


みちる「杖屋て」


魔女「いらっしゃい……凶器をお探しかな……ヒヒヒ………」


みちる「なんで武器の表現が凶器で統一されてんだ」


かなこ「すごい。見るからに魔女だ。写メとっていいかな」


みちる「失礼だろ」


魔女「撮るならこの角度からにしておくれ……盛れるからねえ……ヒヒヒ……」


みちる「美魔女路線かよ」


魔女「ヒヒヒ……ところで杖が欲しいのかね?」


みちる「あーそうです。初心者なんですけど、できれば500G以内で」


魔城「ヒヒヒ……初心者かい……ではこれはどうかのう……」


みちる「これは……?」


魔女「通常時の魔力は最低クラスじゃが条件が揃えば一時的に膨大な魔力を発する杖じゃ……その膨大さゆえ、力をコントロールできぬ未熟者は……そう、死じゃ……ヒヒヒ……」


みちる「性能が歪すぎるわ」


魔女「じゃあこちらはどうかのう……ヒヒヒ…………」


みちる「これは……?」


魔女「ヒヒヒ……これはかつて悪魔に取り憑かれ命を落とした伝説の魔女が使っていたとされる呪いの杖で」


みちる「いわく付きもいらない」


魔女「ヒヒヒ……じゃあとっておきを出そうかねえ……」


みちる「とっておきじゃなくていいから。普通のください普通の」


魔女「なんだい……つまらない子だねえ……」


かなこ「だよねーわかるーみちる超つまんない」


みちる「やかましいわ」


魔女「ねーつまんなーい」


みちる「ヒヒヒ忘れてんぞババア」


魔女「じゃあそこの棚のとこ500G均一だからそこから好きなのとっていけばいいよもう」


みちる「露骨にやる気無くすなよ」



…………。



かなこ「よし……これで二人の武器が揃ったねぇ……ヒヒヒ……」


みちる「ババアのキャラがうつってんぞ」


かなこ「500G余っちゃったね」


みちる「あーそうか、まああとは盾とかも一応いるんじゃね?500で足りるかわからんけど」


かなこ「そこは私に任せて!」


みちる「どうするんだ?」


かなこ「日没までに倍に増やしてくる!」


みちる「おいよせ馬鹿」



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