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第6話 お前もう勇者やめろ

勇者「お!宝箱あるじゃん!ラッキー!」


僧侶「待て勇者!!」


勇者「どったの?」


僧侶「今スキルで探ってみたんだがそれモンスターだぞ。宝箱だと思って迂闊に開けたら攻撃される」


勇者「へぇ……痛ッッッ!!」


僧侶「なんでノータイムで開けるねん」


勇者「いってええええ!!こいつ噛みやがったぞ!この俺の指を!!くそ!箱のくせに!!!!」


僧侶「いやだからこれモンスターだって言ったろ」


勇者「チッ…………」


僧侶「お前はちゃんと人の話を聞け、そんなんだから無駄にダメージ受けるんだよ」


勇者「………………………」


僧侶「メンチ切るのやめろメンチ切るの。お前が悪いんだろうが」


勇者「だってあいつ俺の指噛んだんだぞ?ほら見てここほら」


僧侶「わかったわかったから。気持ち悪いからこっち向けんな」


勇者「マジ無いわあいつ。カスのくせに」


僧侶「もうやめてやれよ。あいつだってそれが仕事なんだから」


勇者「仕事?仕事なの?はーお前いいなあ。そこでじっとして開けたやつの指噛むだけで金もらえんだ。羨ましいわあマジで。なに、いくら貰ってんの?歩合制?」


僧侶「やめろやめろ。ダルい絡み方すんな。あーほらもう震えちゃってんじゃんあの子」


勇者「謝れよ」


僧侶「謝らなくていいよー。はい、もう行こうねー」


勇者「いやいやいや、このまま帰るわけねえだろ。モンスターだぞ?この俺に刃向かったんだぞ?」


僧侶「じゃあどうすんのさ」


勇者「最低でも殺す」


僧侶「勇者のセリフかよそれ」


勇者「でもただ殺すだけじゃつまんないよな」


僧侶「同意求められても」


勇者「でさ、俺こいつ見たの初めてなの」


僧侶「まあ珍しいタイプのモンスターだからな」


勇者「こいつこれ仕組みどうなってんだろう」


僧侶「仕組み?」


勇者「外側の箱もこいつのなのか、それともヤドカリみたいに宝箱の中になんか住み着いてんのか」


僧侶「うーん、いやあ……」


勇者「気になんない?気になるよね?」


僧侶「圧が強い圧が」


勇者「気になったら徹底的に調べ上げるのが勇者の役目だよね?」


僧侶「そんな役目ねえよ」


勇者「とりあえず俺がもう一回開けて手を突っ込んで見るから」


僧侶「なんで完全に調べる方向で話進んでんだよ」


勇者「こいつ魔王の手下だぞ?この世界と子供達の未来を守るために俺たちがこの魔物を始末しないとダメだろ」


僧侶「じゃあ普通に倒せばいいだろ」


勇者「殺したら消滅しちゃうじゃん!だから生かしたまま調べないと!」


僧侶「思想がマッドすぎるよ」


勇者「また変に反撃喰らうのもだるいからさ、死ぬ一歩手前くらいまで痛めつけるか」


僧侶「人の心ねえのかお前」


勇者「その状態で俺がこの魔物をじっくり分解していって、なんか死にそうになったらお前がヒールかけて軽く回復させてやればいい。ほら、拷問中に気絶しそうになったら水かけるっしょ?あれと同じ」


僧侶「日常的に拷問してる奴の発想やめろ」


勇者「それを繰り返して調べ尽くした後に世界の平和と子供達の未来のために殺そう」


僧侶「最後の大義名分のせいでむしろ狂気が増してんだよ」


モンスター『…………あの……』


僧侶「え?今の君の声?なに、どうしたの?」


モンスター『ご……ごめんなさい……ほんと指噛んだこと謝りますので……あの、お金もありったけ出すので勘弁してください……』


僧侶「ほらもう勇者が怖すぎて泣いちゃったじゃん。もういいじゃん見逃してあげようよ可哀想だ

よ」


勇者「へー……」


僧侶「なにその目」


勇者「いや……こいつ喋れんだなあって……これ声帯とかどうなってんだろ」


僧侶「おいやめろ」


勇者「俄然興味が湧いてきたなあ」


僧侶「あーもう!!!」


勇者「おい、どうした僧侶。なんでその箱の前に立つんだ。どけよ。俺の研究対象物だぞそれ」


僧侶「もうダメ!!!!この子可哀想!!!もう指一本でも触れたら俺が許さない!どうしてもこの子を調べたいって言うならこの俺を倒して」


『勇者の攻撃!僧侶に250のダメージ!!』


僧侶「グフッッ……!嘘でしょ……ちょっと…躊躇なさすぎ……」


勇者「えっ?いや、その……俺はお前がいうからやっただけで……」


僧侶「なんで斬っといてちょっと困惑気味なんだよ」


勇者「さあやっと二人きりになれたね魔物ちゃん、なあにちょっと解剖させてもらうだけだから」


僧侶「勇者ってより犯罪者の台詞だぞもうそれ」


勇者「怖がらなくていいよ怖がらなくて」


僧侶「ん……?お、おい勇者みろよあれ!」


勇者「終わればすぐ殺してあげるからねえ」


僧侶「倒せば経験値が3000の超レアモンスターだぞ!早く狩らないと逃げられる」


勇者「うーんまずは適当に蹴り飛ばしてHPを削って解剖しやすくするか」


僧侶「聞けよお前ちょっとは」


勇者「今経験値とかいいからそういうの」


僧侶「なにしにきたんだよ」



『ゴゴゴゴゴゴ……』



僧侶「ん?あれは……?」


勇者「うーんやっぱり先に繋いで身動きを取れなくして……」


僧侶「やばい!勇者避けろ!!!!」


勇者「ん?」


『ゴーレムの攻撃!勇者は盾でガードした!』


勇者「あっっぶねえ!なんだこいつ!」


僧侶「お前このままだと力負けして盾ごと潰されるぞ!!一旦避けろ!!」


勇者「駄目だ!!俺が避けたらこの箱に攻撃が当たってしまう!!こいつには指一本触れさせねえよ!!!!」


僧侶「なんでちょっとお前が守ってるみたいになってんだ」


勇者「うおおおおおおお!」


『勇者の攻撃!ゴーレムは怯んだ!』


勇者「僧侶!今だ眠らせろ!!」


僧侶「お、おう!」



『僧侶はスリーピーを唱えた!ゴーレムは眠ってしまった!』



僧侶「ふう……危なかった」


勇者「ナイス僧侶。よし、眠ってるうちにちゃっちゃと狩るか……ってあれ!?」


僧侶「どしたの」


勇者「箱がいねえ!!あの野郎どこへ消えやがった!!」


僧侶「あーゴーレムと戦ってる隙に逃げちゃったか」


勇者「あの恩知らず俺がゴーレムから守ってやったのに!!これだからド低脳モンスターは!!!」


僧侶「そら逃げるよ。お前どのモンスターより怖いもん」


勇者「はぁ……やっぱ先に鎖に繋いどくべきだったかなあ」


僧侶「まあまあ逃げちゃったものはしょうがないからさ、気を取り直してこのゴーレム倒そうぜ。起きちゃう前に」


勇者「……………………」


僧侶「おいなんだその目は」


勇者「このゴーレムってさ……動力源とかどうなってんだろ……」


僧侶「いい加減にしろ」



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