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第3話 村人Aと村人G

村人A「おいおいお前らそんな装備でモンスター退治に行くつもりか?モンスターと戦うならこの村にある武器屋で『剣』と『盾』を装備してからいくといいぜ!」


…………。


村人A「ふー」


村人G「いったか?」


村人A「ん?あぁ行った行った………ってああバカ左曲がれよそっち道具屋だよ……あー入っちゃった」


村人G「冒険者絶対間違えるよな最初」


村人A「オーナー同じなんだしあの二店舗統合しちまえばいいのにな」


村人G「……ところでA、ちょっと相談があるんだけど」


村人A「どうしたの改まって」


村人G「俺、この世界の主役になりたい」


村人A「絶対無理だろ」


村人G「なんで即答なんだよ」


村人A「いや、わかんないけど。俺もお前も多分この世界の主役にはなれないよ。なんかそういう運命だよ多分」


村人G「どうしてだよ村人A!どうしてこの俺村人Gがこの世界の主役になれないって言い切れるんだよ!」


村人A「わかんないけど俺の本能がそう言ってる。俺たちは主役にはなれないしお前は俺より無理だよ多分」


村人G「お前に本能あんのか」


村人A「あるに決まってんだろ」


村人G「毎日この場所で俺の隣に立って冒険者達へ武器屋を薦めるだけの存在のお前に?」


村人A「急に本質っぽいこと言うなよ」


村人G「俺たちも男として生まれたからにはデカイ花火を打ち上げたいじゃねえか!お前だってそう思うだろ!?」


村人A「急に熱いな」


村人G「ってこの前長老に言われてさ」


村人A「長老なにがあったんだよ」


村人G「でも俺もたとえ運命でも抗いたいんだよ!勇者になってこの極悪魔王に支配された暗い世界を変えて見せる!子供達の笑顔を取り返すんだ!」


村人A「お前……ちょっといいこと言うじゃねえか」


村人G「そしてこの俺様を虐げてきた奴らに復讐してやる」


村人A「性根はむしろ魔王寄りなのが残念だわ」


村人G「あっ、じゃあいっそ魔王側になろうかな」


村人A「軽いよ。さっきの決意なんだったんだよ。子供達の笑顔の前に俺の感動返せ」


村人G「人間さ、正義を貫くより悪に染まる方が楽だし簡単じゃん?」


村人A「たまに本質っぽいこと言うのやめろよ」


村人G「俺は魔王さんのとこに入って悪の世界で名を上げてやる」


村人A「もう敬称ついちゃったよ」


村人G「魔王軍ってどうやって入れんのかな説明会とかあるかな」


村人A「無いだろ」


村人G「縁故採用か」


村人A「むしろ世襲制じゃね?」


村人G「なんか閉鎖的だな」


村人A「でもあっちはあっちで大変な世界みたいよ?」


村人G「そうなの?」


村人A「めっちゃ縦社会だし」


村人G「うわっ、やだなあ」


村人A「先輩モンスターへの挨拶とか結構厳しいらしい」


村人G「飲み会はやっぱり?」


村人A「強制参加」


村人G「新人は当然?」


村人A「一発芸だろうなあ」


村人G「一応、スライム先輩が初心者勇者にチュートリアルで狩られるときのモノマネできるんだけど、これ飲み会でやったらウケるかな」


村人A「ぶん殴られるぞ」


村人G「野蛮な人苦手なんだよね」


村人A「野蛮な奴しかいねえぞ」


村人G「うーん、嫌になってきたなあ魔王軍入るの」


村人A「な?だから俺たちは変な夢見ずにここで平和に暮らしてるくらいがちょうどいいんだよ」


村人G「…………いや!それでも俺は変わるんだ!!魔王側だろうと冒険者だろうとなんだっていい!俺はこの世界の主役にーー」


冒険者「あっ、すみません」


村人G「今は6月30日午前10時14分23秒だぜ!また時間が知りたい時はいつでも俺に尋ねてくれよな!」



村人A「……変われないだろうなあ俺たち」

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