その日は、突然訪れた。僕の目の前で、母と姉が人形の姿に変えられた。ドサッと
乱雑に床に叩きつけられる。人形の姿の母と姉。それを嬉しそうに嘲笑う。
人形姫ナタ―シャのあの顔を僕は、今も覚えている。「このモノたちは、私の
コレクションとして。城へ持って行く」人形姫ナタ―シャは、床に転がる。
母と姉を両手で掴み。自身の胸ポケットに大事そうに入れる。
「母さん、姉さん・・・・・・」悲痛に叫ぶ。僕の声を聞いて、目障りだったのか。
僕の口を魔法で縫った。「ん~んーんー」縫われた口から、言葉を出そうとしたけど。
ダメだった。「しばらくの間。黙ってくれないかい?」人形姫ナタ―シャは、小さな
首を傾ける。あの大きな赤い瞳に睨まれると、何も声が出ない。「さて、今日の
所は帰るとしますか。あの白銀の長い髪に触れると、手が凍ってしまいそうで
怖い。この時の僕は、とても弱虫だったと思う。「じゃあな。少年。君のお母さんと
お姉さんは、私の
ナタ―シャは、右手の手の平を大きく開き。僕の家に
作った。「さらばだ。愚かな人間の子供よ」僕に、虫けらのように見る。あの赤い
目が怖い。大好きな母さんと姉さんを人形に変えた。人形姫の魔法が怖い。
怖くて、怖くて堪らない。堪らないけど・・・・・。「まーはぁーって・・・・・・」
「うん?」人形姫ナタ―シャの魔法で、僕の口は縫われっているはず。
「ぼ、僕の家族を・・・・・・」「貴様、どうやって、私の魔法を解いた?」
人形姫ナターシャが、目を見開いた。「母さんと姉さんを元に姿に・・・・・・」
その瞬間、少年アルド・ディーノルドの体を光が覆った。
「ほぉーまさか、この子・・・・・・うふふ~そうなのねぇ・・・・・・」
「僕の家族を元の姿に・・・・・・」アルド少年は、人形姫ナタ―シャに近づくが
近づく前に、意識が無くなり。その場で倒れてしまう。倒れる瞬間、人形姫
ナタ―シャが、アルド少年を受け止める。「まさか、こんな所で出会えるなんて。
私って、なんて運がいいのかしら。少年よ。君の名前は?」
「ア、アルド・ディーノルド・・・・・」「アルド・・・・・・イイ名前ねぇ~」
妖艶な笑みを零す。人形姫ナタ―シャは、アルドに顔を近づけ。耳元で囁く。
「あなたが、もう少しだけ。大きくなったら、私が住む。ここに、一人で来てねぇ。
そしたら、あなたの家族を返してあげるから・・・・・・」そう言い残して
ナタ―シャは、アルドの体をゆっくり床に置いた。「待ってるからねぇ。
アルド・・・・・」人形姫ナターシャは、姿を消した。アルドの母親と姉を
人形の姿に変え。二人を連れて、姿を消した。これが、アルド・ディーノルド。
当時10歳の悲惨な出来事の一部始終である。人形姫ナターシャ。
人間を操り人間同士を殺し合わせる。ただの道楽として楽しみ。
気に入った人間を人形に変え。自身が住む城の中のコレクションする。
その姿美しい可憐な彼女は、人々から。こう呼ばれていた。人を操る
人形姫と。人形姫ナタ―シャは、優雅に微笑む。人間が苦しむ姿を
操る糸を切れる日が来るのは。まだ、当分先の話になる。