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我が家の犬

黒色のミニチュアダックスフンドの女の子を飼っていました。アーモンド型のくりっくりの瞳の上には平安貴族の眉毛みたいな模様がありました。




今、彼女は天国に住民票を移しています。




連れて歩くのが誇らしいくらい美しい犬でした。




父のことはパートナーだと認識している節がありました。父か仕事から帰宅した際は毎度毎度アツアツラブラブでした。


彼女はよくわたしの膝の上で、白目を剥きながらいびきをかいてすやすや寝ていました。気の許した姿はたまらなく愛おしいです。


玄関の鍵がガチャ〜と鳴り軽快に父が「ただいま〜♪」と帰ってきます。彼女はまず、鍵のガチャ〜の音が鳴り終わる前にギュルン!と黒目を瞼の上から降らせます。そしてわたしの膝をトランポリンだとでも思っているのか、たくましくて短い手足(鋭い爪付き)でビョンビョン気の赴くまま跳ねるだけ跳ねるんです。爪がわたしの太ももをえぐり赤いひっかき傷がいくつも出来ます(かわいいので不問とします)。


彼女は玄関まで駆けてゆくが、我が家はリビングの扉は閉めておく派でした。冷房や暖房が外に漏れるのを防ぐ節約の為です。


彼女はくうんくうんと甘えたような、嬉しくて絶叫しているような鳴き声を上げながら扉に突進を繰り返します。




父がリビングの扉をそっと開けました。突進を繰り返す彼女が扉に更に当たるのを避けるためです。父、とても優しい。父は彼女を確認するとその場に座り込み、おいで〜と腕を広げます。彼女は驚異のジャンプ力で父の胸に飛び込み、陸に上がった鰻のようにはしゃいで父に身体を押し当て続け、父の顔をソフトクリームよりもおいしそうに舐めます。


離れ離れだった恋人との再会を運命が後押しして再び引き合わせたかのような感動のシーンみたいです。


彼女は、おかえりを全身で表現しています。わたしもそんな風に感情を解き放ちたい。




父は彼女のヨダレまみれの顔をわたしに向けて「ただいま〜」と言います。なんてうらやましい!この人間ソフトクリームめ!


わたしも父に「おかえり〜」と言います。すると彼女は満足気にフンス!と鼻を鳴らします。


家族って最高。




あの頃も今もこの先も、我々はスペシャルにハッピーなファミリーです!




彼女の写真や使っていたグッズやお花を供え飾っている彼女専用の棚をふと見ました。


彼女がフンス!と鼻を鳴らしたような気がしました。

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