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第4話

 サクラはこのゲームの実績をすべて取得している。

 実績とは、コンピューターゲームにおけるミッションとして設定されている条件のことだ。


 実績をすべて取得しているということは、通常のゲームクリアだけでなく、開発側が用意したやり込み要素をすべてプレイし終えた証なのだ。


 ──私が実績をコンプリートしていることに間違いはないのだから、取りこぼしているアイテムは絶対にないはず。アイテム関連のフレーバーテキストを見落としているわけないから、言葉でクロビスと王都の繋がりは説明されてない!


 このゲームの実績には、全ての武器や装備品などの取得可能アイテムを全種類入手すること、という項目がある。

 つまり、サクラはアイテム関連のフレーバーテキストにはすべて目を通していることになるのだ。


 クロビスと王都との関連について見落としの可能性が高いのは、ゲーム内にあらかじめ用意されているオブジェクトから関連を推察するというものだろう。

 サクラはマップ内のすみずみまで見て回ったつもりだったが、なにせこのゲームはオープンワールド作品となっている。


 オープンワールドゲームとは、ゲーム内の仮想世界において、プレイヤーが広大なフィールドを移動の制限なく自由に探索し、目的に到達できるように設計されているゲームのことだ。


「……ああ、やっぱり考察勢の動画とか見ておくんだったなあ」


 最近のオープンワールドゲームは、自由に動き回れる範囲がとてつもなく広い。

 ゲームをプレイしている身としては、探索できる範囲が無限にあるような気持ちになってくるほどだ。


「ゲーム内のオブジェクトの配置からクロビスと王都との繋がりを推察してくれっていう匂わせ程度だったら……。確実に見落としている自信があるなあ」


 とくにサクラが好んでプレイしていたタイトルを作っていたゲーム会社は、ゲーム内で明確なストーリーが語られないことで有名だった。

 基本的なゲームのストーリーでさえ、アイテムのフレーバーテキストから想像することになる。

 ゲーム内に設置されているオブジェクト、例えば絵画に描かれている風景や人物、その絵画自体が飾られている場所などから、ストーリーにかかわる重要なヒントを読み取れることもあるほどだ。


「なるべく自力で全ての謎を解明したいって意地をはっていたからな。攻略サイトのひとつくらいは熟読しておけばよかった。でもさ、そもそもヒントになるオブジェクトがギミックで隠されている部屋の中にあります、とか言われちゃったらお手上げなんだよなあ」


 サクラはどうにかして、クロビスまわりの情報を思い出そうとしていた。

 すると、先を歩いていたクロビスがあきれた様子でサクラを振り返り、声をかけてきた。


「先ほどからお一人でなにをぶつぶつ言っているのかわかりませんが、目的地に着きましたよ」


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