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第40話 カレー作り

「それでは皆さん、お疲れ様でした。あと十分後に再集合です。この後はみんなでカレー作りをしますので、手洗いはしっかりしてきてくださいね〜」


 だだっ広い芝生広場に差す陽の光が茜色に染まった頃。時計の針が午後五時半を示すと、先生の号令によってクラス遊びの時間が終了する。


「うわ、もうそんなに時間経ったのか。なんかあっという間だったな〜」


「そ、そうか? 俺はもうヘトヘトだけどな……」


 こもれびから戻りクラス遊びがバスケになっているのを見て大興奮した葵は、それはもう凄くて。流石元バスケ部エースなだけあってとんでもない活躍っぷりだった。


 それに比べて俺はと言うと……もう動きすぎで脚がパンパンだ。明日の自由時間、筋肉痛で動けないなんてことにならなければいいが。


「うっす、お疲れ晴翔。白坂も、やっぱ上手いな。流石だわ」


「えへへ、ありがとな赤松! お前もやっぱ運動神経いいよな。帰宅部なの勿体無いんじゃね?」


「白坂にだけは言われたくないな……」


 そういえば。俺たちが戻った時、コイツと中月が何故かいなかったんだよな。


 周りの奴に聞いたら「中之島と白坂みたいに二人でどっか行った」と言っていたけれど、結局どこにいたのだろう。


 まさか俺たちと同じ店に……いや、それなら流石に気づくか。第一こっちが気づかなくても中月は間違いなくちょっかいかけてくるだろうし。


「そういえばさ。カレー作りの班って決まってたっけ? くじ引きした覚え無いけど」


「ああ、それはあれだ。先生がこの校外学習はクラスに仲のいい友達を増やしてもらうのが目的って言ってたろ? んで、その仲良くなった奴ともっと親しくなれるよう、班は自分たちで決めていいらしい。特に何人とかって縛りも無いって」


「へえ。じゃあ結局は俺たち同じ班か。大和、俺以外に男友達いないし。女友達なんてもってのほかだもんな」


「お? なんだ喧嘩するか?」


 さて、そういうことなら話は早いな。


 俺たちの班はいつもの四人で決定だろう。唯一離脱しそうな可能性があるのは友達が無数に増えていく中月だが、まあこっちには大和がいるし。なんやかんやアイツって大和との遊びとか優先するしな。


「だってさ夜瑠! また同じ班になれるな!」


「そだねえ。ま、先生が言ってる新しい友達と〜ってのとは正反対になっちゃうけど。結局居心地いいメンバーでいるのが一番だしね」


 こうして班を再結成して集合時間を迎えると、そこからはバーベキューの時のように別々の机に別れ、班ごとで食事をする準備が始まっていく。


 しかし昼と違うのは、カレーは自分たちで作らなければいけないというところだ。渡される食材はここらへんで採れたものをそのままなようで、洗って土を落とすところから始めなければならない。


「げえっ。ちょ、虫とか紛れ込んでないよね? 汚れ仕事は大和と晴翔でやってよ?」


「よ、汚れ仕事て」


「ああん? クソギャルてめえ、働かざるもの食うべからずだぞ! そうやってサボる気ならカレーやらねえからな!!」


「はあ? 違うしい。私と葵は女の子だよ? がさつな男子諸君より料理スキル高いの〜。適材適所って言葉知らないわけえ? ね〜、葵?」


「お、おおうっ。そ、そそそうだぞ。私たちにま、任せろ!!」



 ……あれ? 葵さん? すっごい汗かいてますけど。

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